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絶世の美女は災厄の女神
【ファンタジー その他小説】

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絶世の美女は災厄の女神-2

 痩せ型でほっそりした体つき、うりざね顔に切れ長の眉、魅惑的なグリーンの瞳、ストレートでサラサラの長い金髪を風に靡(なび)かせ、意外と豊かなバストの持ち主でもある『リアキナモーカナ』。何を隠そう彼女は『エルフ』である。それが証拠にサキッポが少しギザギザになった、尖がった長い耳。どうやら彼女のご自慢でもあるらしい。
 いつの頃からこの片田舎の町外れに住み着いて、幾成層(いくせいそう)。誰が言い出したか知らないが、美しい女性の噂はあっという間に国中に広まった。
 そんな彼女に求婚を願い出る男性の数たるや、日に日に増えてくるばかり、最早収拾すら付かなくなって来たと、ぼやいたところで始らない。
 どうもこのままでは不味いだろう。そう考えたリアキナモーカナは、この馬鹿げた混乱を収めるべく、致し方無くも、誰かの求婚を受けることを決意したらしい。そして我が夫となる者を選ぶべく彼女が言い出した条件とは。
「あの遥か彼方『羊飼いの丘』の天辺から、一番早くわたしの元へやって来た人と結婚してあげるわ」
 ってな事であり。彼女を意中とする者、そうでない者、あるいは既に結婚して奥さんや子供まで居るにもかかわらず、絶世の美女を2号に出来るチャンスとばかりに、業突く張りの旦那衆までもが、この馬鹿げた大徒競争へと参加したらしかった。
 条件はあくまで一着でたどり着く事のみ。それゆえどのような手段を講じても構わない事。それを良いことに小ずる賢い者どもは、あの手この手と策を労して、我先にとリアの元へと向ったのである。


 そんな中、どうやら此処にも一人、リアのハートを射止めんが為、大きな飛行船に乗ってやって来た大金持ちらしい貴族の男が居た。
「がーーはっはっはぁ! ばかな愚民どもめが、適わぬ夢を追い求めて虫けらのごとく地上を這いずっているが良い! あの美しき女神『リアキナモーカナ』嬢は、わしが頂いたわぁ! ガッハッハァ!!」
 大きなバルーンにぶら下げられた、これまた大きな木造の船。丸で海を行く帆船のごとく、悠々と空を舞うその姿はまさしく『空飛ぶ城』。そんな飛行船の船首で仁王立ちしたまま、貴族の男は腕を組んで勝ち誇ったかのごとく、高笑いをしていた。
 すると。
「空を行くとは卑怯千万! それでもソナタは誇り高き名門貴族が一人か! 恥じを知れ恥を!!」
 突然の声に、ふんぞり返って笑って居た貴族の男も、慌て振り返る。
 見ると小さな『飛竜(空が飛べる羽の生えたドラゴン)』に乗った若い騎士が一人、そんなことを叫びながら飛行船に近づいて来たではないか。
「貴様こそなんだそのチンケなドラゴンわっ! そんな魔獣でもって神聖な女神であるリア殿の元へ参るつもりか! それこそおこがましいにも事があろうっ!!」
 飛行船に乗った貴族の男は、負けじと言い張り、小さな飛竜に乗った若い騎士を非難する。
 騎士は言った。
「なーに、スタートの時だけ地に足を着けていれば、これすなわちルール違反ではないでござろう! リア殿は、こんな馬鹿げた競争を仕掛けるに当たって、我々の懐の深さを測り知ろうとしているに違いないのだ! すなわち競争に勝つに当たっては、その千恵と財力、自分の夫としてふさわしい男の力量を試すが目的のこのレース、のこのこ地を走ってなど行ったとあっては、それこそ失礼千万! したがって我はこうして、レオフォールド王国でも希少価値といえよう『幼き飛竜』を持参しての参加とあいいたしただけのこと! 我が勝利し暁にはこの『飛竜』、リアキナモーカナ殿への貢物(みつぎもの)となろうぞ!!」
「ならば我とて同じこと! 勝てばこの飛行艇『バルルーン』! 我とリア姫の為の天空の城としてくれようぞ!!」
 どうやら思惑は二人とも同じである。卑怯もへったくれ有ったもんじゃぁ無い。勝てば官軍とばかりに、貴族の男は飛行船の船足(ふなあし)を速め、若き騎士もまた、小さな飛竜に鞭打って、そのスピードを上げるのであった。


 一方、リアキナモーカナはと言うと。
「トイレットペーパーの10ロールパックが一袋238円。インスタントコーヒーの詰め合わせがお一人様3個までで298円! いいわねぇ早速買いに行かなくちゃ!!」
 などと、のん気にも、今朝の朝刊折込の広告を眺めながら、入れたてのモーニングコーヒーに舌鼓を打っていた。
 遠くで鳴り響く花火の音に、自慢の長い耳をパタ付かせながら。
「どうやら始った様ね。……まあどうせ誰もたどり付けやしないだろうけどね」
 と、そんな事を呟いて、ほくそ笑んで居た。


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