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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの会話-2

私と彼・光輝君が、同じ高校に通いながらも全く面識が無かった理由…それは、光輝君がSクラスだったからなの。
Sクラスは俗に言う進学クラスってやつで、うちの高校のエリートが勢揃いしてる。
入試の時から普通クラスとは区別されてて、その教室は普通クラスとは別の棟に有るから、同じ学校に通ってても殆んど会う機会が無いんだ…納得でしょ?

「しっかしまぁ、聖は仕方ないにしても、その…光輝君?の方は聖の存在を知ってても良さそうなのにねぇ…」
「へ?なんで?」
「なんでって…アンタまさか…気付いてないの?」
「ほぇ?」
(気付く?何を?)
「鈍感…」
目を白黒させている私を見て、絢音は諦めた様に小さくそう呟くと、深く溜め息を吐いた。

「それで、再会してどうだったの?ずっと楽しみにしてた割には、あんまり嬉しそうじゃないじゃない?何か有った?」
(さすが絢音、鋭いなぁ…)
「特に何か有ったって訳じゃないんだけど、何かがずっと引っ掛かってるんだよね…」
「何か?」
「うん。」
「う〜ん…例えば?」
「………それが分かったら苦労してないよ。」
「だよね、ゴメン!」


午後の授業中、私はずっとモヤモヤの理由を考えていた。昨日の光輝君との会話を思い出しながら…

無事に再会を果たした私達は、暫く二人並んで桜を眺めていた。
視線を感じて私が隣を見ると、急に光輝君が口を開いた。
「そういえばヒジリ…同じ高校だったんだ?」
「うん。3年C組だよ。」
そう言って私は、自分の学生証を取り出して光輝君に見せた。
「ぇ…」
それを見た途端、光輝君の表情がが一瞬だけ強張った。
(……ん?)
「3年C組…宮木…聖?」
「う、うん。どうかした?」
「い、いや…なんでもない。」
「そぉ?なら良いんだけど…コウキ君は?クラスどこ?」
「俺はSだよ。隔離クラス!」
光輝君は苦笑いをしながら、私と同じ様に学生証を見せてくれた。そこには『3年S組 瀬沼 光輝』と書かれている。
「ホントにSだぁ…頭良いんだねっ!」
「まぁ、聖よりはな!」
「むっかぁ…その言い方、昔と全然変わってないっ!直ぐ私をバカにするっ!」
「ははっ、聖は全然“成長”してない!」
「なんですとぉ?」
「ほら、直ぐにムキになる。まだまだガキだなっ!」
そう言って光輝君は、声を上げて笑い始めた。でも…その横顔が何故だか寂しそうだった。

(どうして?)
最初の内は、確かに嬉しそうに微笑んでいた。
それなのに、私が自分のクラスと名前を伝えた辺りから急に光輝君の表情が固くなった様な気がするの…
(なんで?)
いくら考えてみても、その理由が私には全然分からなかった。


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