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「宇受賣神社の巫女」
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「宇受賣神社の巫女」-13

 太野は、美沙子に案内されて社務所に行き、客間に通された。タイムスリップしたような他の場所と違って、そこは現代風の普通の客間だった。しばらくすると、一人の少女が顔を出した。年は十七、八歳だろうか、ピンクのブラウスを着て、チェックのフレアミニをはいている。とても可愛い娘だった。
「こんにちは、初めまして、僕は…」
 そう自己紹介しようとすると、少女はコロコロと笑い出した。
「あら、太野先生、さっきまでお話していたでしょう。」
 そう言う少女を見て、太野はアッと声をあげた。少女こそ、猿女の巫女その人だったのだ。
 巫女は本名を那美と言った。先代の巫女は彼女を産んだ時に亡くなり、空位になっていた巫女の座を昨年、16歳になったこの少女が継いだのだと言う。
 それからしばらく、太野は那美との会話を楽しんだ。巫女の普段の生活を聞きたいと言ったのに、那美は自分のことを話すよりも、大学の話を聞きたがった。求められるまま、キャンパスの話をすると、那美は楽しそうに笑う。それは、普通の女子高生の笑顔と変わらなかった。
 そこに、美沙子が現れた。
「今夜は、月に一度の夜神楽がございます。当神社に伝わる神事のうち、最も重要なものでございますので、先生もおいでになってはいかがでしょう。」
「それは、ぜひ見学させていただきます。」
 太野が喜んで答えた。その横で、那美が複雑な表情を浮かべていたが、太野はそれに気づかなかった。

 神楽殿の周りに薪が焚かれた。時刻は午前2時。草木も眠る丑三時である。
 神楽を見に集まったのは、太野を含めて5人。神楽殿の前に見所を設えて座っていた。年格好は異なるが、いずれも男性である。会話を小耳に挟んだところでは、全国各地からやって来た氏子で、それなりに社会的地位のある人たちらしい。
 しばらくして、神楽が始まった。
 最初に神々が天孫降臨の場を固めて国造りをしたことを表す神楽、次に激しい日本刀の剣舞があり、獅子を伴う山神が出た後、いよいよ、クライマックスの天岩戸の物語に入ってくる。
 力持ちの手力雄が岩戸を探し当てた後、竜笛が月に向かって厳かな音色を響かせ、白衣に緋色の袴の巫女装束を来た那美、猿女の巫女が橋渡りに現れた。天の香具山のヒカゲノカズラをたすきに懸け、ツルマサキを頭に飾り、笹の葉を束ねて手にもって…、というのは古事記の記述にきわめて忠実なアメノウズメノミコトである。巫女は舞台に進み、優雅に舞を舞った。
(他の神社の『岩戸』と少し違うが、やはり同じ系譜ではあるな。)
 そう分析し、メモを取り、写真に撮りながら見ていた太野だったが、すぐにその手が止まる。
(それにしても、巫女の美しさは絶品だ。)
 太野は記録する手を止めて、巫女の舞をうっとりと眺めていた。巫女姿の那美は、神々しいばかりに美しい。
 ややあって、舞台の手前中央に大きな桶が伏せて置かれる。
すると、太鼓の調子が変わった。激しく荒々しいリズム叩き出す。
 ピーピー、ピーヒャララ
 ドンドコドン、ドンドコドンドン
 ドンドコドン、ドンドコドンドン
(おっ、『舞』の次は『踊り』になるのか?)
 アメノウズメノミコトが激しい踊りを見せ始めた。神憑りのシャーマンの動きにも見えるし、ビートの効いた洗練されたダンスのようにも見える。巫女が顔を左右に振ると、汗をかいた頬に髪の毛が貼りつき、さらに色っぽさを増していく。数本の髪の毛が唇の端に貼りつく。
 舞台の上を所狭しと踊ったあと、巫女は桶に乗り、タップでも踏むように足を踏み鳴らして踊り始める。
「おっ!」
「おおっ!」
 食い入るように神楽を見ている男たちが一斉に声をあげた。
 巫女が踊りながら白衣の胸元を大きく開いたのだ。肌襦袢や長襦袢は着ておらず、はだけた白衣から、乳房がプルンと飛び出した。その頂点で乳首がツンと尖って、天を向いている。
「こ、これは…」
 太野は息を呑んだ。古事記に書かれているアメノウズメノミコトの踊りをそのまま再現しているのだ。


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