投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「宇受賣神社の巫女」
【その他 官能小説】

「宇受賣神社の巫女」の最初へ 「宇受賣神社の巫女」 11 「宇受賣神社の巫女」 13 「宇受賣神社の巫女」の最後へ

「宇受賣神社の巫女」-12

「あっ…、あっ…」
 押し止どめようのない官能の中、那美は自分が怖くなる。このまま犯され続けたら、自分はどうなっていくのだろう。もう、元の自分には戻れないような気がする。
 そう思って、那美はハッと気づいた。それこそが、「猿女の巫女」になるということではないのか。那美の脳裏に美沙子の顔が浮かぶ。従者の娘たちの、青年団の若者たちの、村人たちの顔が次々に浮かぶ。そこには、那美を愛し、求める人たちがいる。そうだ、自分は神と結婚したのだ。亡くなった母のように、顔も知らぬ祖母のように、代々の猿女の巫女家の女たちのように…。
(これが、私の運命…?)
 そう思った那美に、もはや抵抗する理由はなくなった。逆らうことなく、官能に身を委ねればいい。
 男が交替し、男根を挿入される度に、新たな快感の波が襲ってくる。那美はそれに翻弄され、自らそれを求めていく。
「あぁっ…、そっ、そこっ…、もっとぉ…」
 もはや那美は、自分が何を考え、何を叫んでいるのか、わからなくなってきた。絶頂が近いのだ。
「あっあっ…あぁ…、あっ、あ、あ…」
 ビクッビクッと身体全体が震え、腰、太ももの痙攣が続く。
同時に、那美は熱い液体が体内に噴出してくるのを感じた。最後の一人が那美の胎内で果てた。
「これで、村と巫女が固い絆で結ばれた。」
 村人が歓声を上げ、狩衣をつけて身なりを整えた村長が、新たな巫女に声をかけた。
「さあ、猿女の巫女君、神社に戻りましょう。この間、成人を迎えた男子とまぐわって、言祝いでやってくださいませ。宇受賣神社の氏子は、巫女と交わって初めて成人したと認められるのですが、なにせ、この16年間、巫女がいなかったのですから…。」

終章

 湯島大学の大学院を卒業し、今年から研究室で助手をしている太野(おおの)安利は、自動車で5時間以上をかけて、ようやく目的の神社にたどり着いた。彼を出迎えたのは、目を見張るような美女だった。
「お電話いただきました、稗田美沙子です。」
「太野です。ご無理を言って、申し訳ありません。」
「アメノウズメノミコトの研究をしていらっしゃるんですって?」
「ええ、僕の研究テーマなんです。あちこちの神社を回って、調査をしているんですが、この神社には、一般に伝えられるものとはかなり違う、異種のアメノウズメノミコト伝説と神事が残っているとお聞きしまして…」
 太野がそこまで言った時、美沙子が表情を改めて、彼の言葉を遮った。
「先生…」
「はい?」
「異種ではございません。当神社に伝わるものこそが正統、本来のもの。」
「あっ…、失礼いたしました。」
 太野は恐縮して何度も頭をさげる。その様子が、いたずらを叱られた少年のようで、美沙子は思わず微笑んだ。

 美沙子の案内で主な社や祠を参拝し、太野は熱心にメモを取り、写真を撮影した。
 一巡りした後、いよいよアメノウズメノミコトの直系を名乗る巫女に会わせてくれると言う。京都の大きな神社にも劣らない立派な本殿に入り、祭壇の前で待っていると、やがて、衣摺れの音とともに、巫女が静々と現れた。
 白衣の上に花模様の千早を羽織り、緋色の袴を穿いて、長い黒髪を後ろで一つに束ねた、典型的な巫女装束だ。彼女が現れた途端、目に見えぬオーラに照らされたように、社殿の中がパッと明るくなったように感じられた。
 太野はおもわず息を飲み、声を失った。この世のものとは思えないほど美しいと言うのは、おおげさな比喩ではなかった。
とてつもない美女だ。神秘的で清冽、それでいて、どことなく艶めかしい色香を漂わせている。
「第175世、猿女の巫女君であらせられます。」
 美沙子が厳かに告げた。女神の末裔は上品な笑みを浮かべて、軽く会釈をする。惚けたように見取れていた太野が、慌てて頭をさげる。
「…できれば、巫女の普段の生活もお聞きしたいですね。」
 巫女から神社に伝わる伝承の数々を聞いた後、太野が何げなくそう言うと、巫女は美沙子に何事かを囁き、本殿を後にした。


「宇受賣神社の巫女」の最初へ 「宇受賣神社の巫女」 11 「宇受賣神社の巫女」 13 「宇受賣神社の巫女」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前