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いつか、目の前に
【コメディ 恋愛小説】

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いつか、目の前に…… (真実)-1

俺はピンチを迎えていた。
ストーキ じゃない リサーチのためにミナモを尾行したのだが、ミナモに見つかってしまったのだ。
幼等部の部長室。
ミナモと初老の女性が話をしていたあの部屋に俺も通された。
ミナモは笑顔でお茶を出して机の対面に腰掛けた。
けがれのない笑顔なので逆に俺の良心がチクチク痛んだ。
「あなたは何をしていたのですか?」
初老の女性は実は幼等部部長であった、変質者を見る目で俺を凝視していた。
部長さんからすれば幼等部をのぞきにきたロリコン変質者にしか見えないのだろう。
「えっと、その……」
誤解を解きたいがなまじ真実もあまり言い難いものなのだ。
視界の端では一才に満たない赤ん坊が両手におもちゃを持って景気よくぶつけている。
この子が『マナミちゃん』なのだろう。
「この人は私と同じクラスの北川順一君です。 よくお話もしますがいい人ですよ」
部長さんはそれを聞くと「なるほどね」とつぶやいた、何が「なるほどね」なのだろうか。
「で、北川君はあそこで何をしていらっしゃったのですか?」
にこやかな笑顔で聞いて来る。
「えっと、あの、その、この」
俺は盗み聞きの結果からある仮説を導き出していた。

このマナミちゃんとミナモは何かしら深い関係であるのではないかということだ。
おそるおそるマナミちゃんのほうに顔を向ける。
「あの子は?」
俺が言う事のできた一言である。
ミナモは少しためらっているかのような表情をした。
部長さんはそんなミナモをただ優しいまなざしでみていた。
1分ぐらいたっただろうか、ミナモはゆっくりと目をつむり、開いた。
そこには迷いがなく、しっかりと俺を見ていた。
「その子は私の実の娘です」
え? なんだって?
「私は中学の頃に親が無理やり許婚を決められてしまいました」
ミナモは席をたちガラガラで遊ぶマナミちゃんに近寄る。
「最初は嫌でした。年も離れていたし、第一親に決められてしまったのが何より嫌でした」
そっと、まるで壊れ物を扱うかのように娘を抱き上げた。
「ですが、会って話をすればするほど、何処かへ出かければ出かけるほど、私はその人に引かれて行きました」
マナミちゃんは母の匂いに安心したのか、ゆっくりと目を閉じていく。
「私たちは私が16才になると、すぐに一生を共に歩く決意をしました。 とても祝福された結婚でした」
マナミちゃんはもうすっかり母にすべてをゆだねていた。
「私は高校に通いながら新婚生活を楽しみました。 その結果、一年も立たぬ間にこの子を授かりました」
大体、言いたいことは俺にも分かったが。
一言で言おう。
「信じられない」
「事実です」
「北川君、全部本当の事よ。 この子は間違くミナモちゃんの娘さ」
部長さんは俺のコップにおかわりをそそぎならが言った。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


そこに地響きをたてながら何が走ってきた。
扉が思い切り開けられる。


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