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エス
【純愛 恋愛小説】

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アイ(1)-1

会わなければよかったね。
そうすれば何も……。



『アイ』



それは高校一年の時に友達のミクが持ってきた雑誌がきっかけだった。
いつもの教室、いつもの昼休み。
化粧直しに余念が無い人もいれば、ひたすらお菓子を貪る人も。

私は……と、言えば、友達と一緒に話したり笑ったり。
最近流行ってる服とか、髪型とか、芸能人とか。
歌を歌ってみたり。

女子校なんて自由気ままでそんなもの。

そんな毎日の中、流行り物が大好きなミクは鞄から満面の笑みを浮かべてその雑誌を取り出した。
女子高生なら誰でも読んでる様な有名な雑誌。

「あー、ミク、今月号じゃん。もう買ったの?」

確か発売日は今日のはず。なるほど、今朝遅刻してきたのはコンビニでも巡っていたんだろう。
もう一人の友人のユウはその雑誌をうらやましそうに眺めて声をあげた。

「そーよー。遅刻したかいがあったよ」

さっきまでお弁当を広げていた四つくっつけた机の真ん中にその雑誌を広げるとミクはみんなに見やすいようにページをめくっていった。
私達のグループでは雑誌を買う当番が決まってる。

ミクはこの雑誌、ユウは来週発売の、そして私はもう今月はその当番は終わっていた。
みんなで回し読みすれば三冊分じゃん、と、提案したのはミクで、私達もそれに同意した。
私立の学校に通う私達はバイトが出来ない。
だから、万年金欠なのだ。
買ってきた雑誌は個人所有だけど共同所有になる。
だから、欲しいページがあって他の二人が裏ページも含めて要らなければ、愛用のカッターで切り取って持って帰れるのだ。
もちろん、手に入れてから一週間たってからだけれど。

「わー、相変わらずかっこいいねぇー!!」

目を留めたのは暁のポスター。
ユウはこのグループに目が無い。
もちろん、このポスターのページはユウのお持ち帰りだろう。

「ユウは本当に好きだね」

ユウの目がきらきら笑ってて、私は思わず噴出しながら言う。

「うるさいなー、郁」

ふーん、と横を向きながら赤いカッターナイフでユウがそのページを切り取った。
一通りカラーページを三人頭をくっつけて見ると、後は文字ばかりのページだった。
読者の便りとか占いとか。
一般的なページ。

その中に、女子高生の噂特集があって、三人は顔を見合わせた。

結局、私達はミーハーなのだ。


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