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崩れる日常
【初恋 恋愛小説】

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二人の日常、4-3

食事も終わってテレビを二人寄り添いながら見ていた。
テレビではお笑い芸人がコントをやっている。
俺が笑う。
千裕も笑っている。
すると俺は芸人にちょっとケチをつけてみる。
軽く今の芸人のネタについて討論する。
お互いの考えを議論しあうが納得せず
討論は人それぞれのツボの違いと言う事で結論が出る。

千裕の事をもっと深く知りたくて投げ込んでみた石はあまり波紋を広げてくれない…
大きすぎる石では入れ物そのものを壊してしまうかもしれない…
小さい石では知りたい形の答えを形作ってくれない…

ちょうど良い大きさの石がなかなか見付からず少しもどかしい。

それとも何か別の理由か?


「トイレ借りていい?」
「そこの扉でてすぐ左だよ。台所の電気は点けちゃダメだかんね?」
「うぃ。」

誰にも、それこそ彼氏にだって見られたくないものがある。
誰でもそうだろう。
それでも全てを知りたい。
そう思うのはエゴだろうか?

「ままならないなぁ…」


部屋に戻ると千裕の姿がない…
一瞬部屋の入口で立ち尽くしていると真横のベッドから声がした。

「移動しました〜。横になると楽なんだよね。」

俺は仕方なくベッドの横に置いてある椅子に腰掛けテレビを見る。

千裕が話しかけてくる。
テレビとベッドの間に腰掛けてるので千裕の方に向き直る。
会話は二、三往復で途切れ俺はテレビに向きを直す。

また千裕が話し掛けてくる。(以下略)

三回目ぐらいでテレビに向き直るのが面倒になり
ずっと千裕と向き合っている事にした。


今度は千裕は何も喋らない。
ただ、見つめ合う。

何か考えが合って言ったわけじゃなかった…

「…お邪魔してもいいかな?」

千裕は無言で被っていた布団を半分めくる。

千裕も程度の差はあれ同じ気持ちだったのかも知れない…

後は言葉は要らなかった。

テレビを消すと部屋は暗闇に包まれた…




果たしてこの行為はお互いを知る為に必要な
ちょうど良い大きさの石だっただろうか?

絆や関係は深くなっただろう…
千裕が受け入れてくれた事も素直に嬉しい。

でも悩み事の答えは出ない
まぁ悩める事も幸せの内ではある。


ただ一つ言えるのは今の俺にとっては十分過ぎる幸せだということだ。


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