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崩れる日常
【初恋 恋愛小説】

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二人の日常、2-3

「仕方ないなぁ…もう。」

千裕も最後にはそう言っていたが口調から照れ隠しだと容易に読み取る事ができた。

今日の電話は特に長い…
明日会えると思うからこそ募る思いもある。
日付も変わり
冬の遅めの夜明けまで電話は続いた。



今更だが、この季節のスタンドのバイトはきつい。
お客さんの車に積もった雪を降ろしたり
濡れたタオル畳んだりと
特に手が冷えて感覚が無くなってくる。
洗車なんて入った日にゃ社員だって文句をいうもんだ。お客さんに聞こえないとこで。

ガチガチに冷えた感覚の無い手で何度もメールを打ち間違える。
今からだと10分ぐらいで来るだろうな…
とするとさっさと着替えて待ち合わせの場所に行ってちょうどいいぐらいか。

いつもと違ってそそくさと帰ろうとする俺に気付いたのか
恋敵Aの木村さんが
「なんだ?今日はこれから遊びにでも行くのか?」
と聞いてくる。
その後ろから恋敵Bの大場さんが
「もしかして女と?」
と畳み掛けてきた。

最近バイト先での一番の困り事は千裕との関係を皆に話したくてしょうがない欲求がある事だ。
それは色々とまずいだろうから今回も欲求を抑えて
適当に返事を返してスタンドを後にする。

いつもの帰り道とは逆方向の待ち合わせ場所に向かう。

まだ来てないようだ。
ストーブで手も暖めず急いで来たので自販機の缶コーヒーを買って手を暖める。

飲み終わる頃見覚えのある車が近付いてくる。
停車も待たずに近付いて行き助手席に乗り込む。

おっ?今日はシートの位置が変わってない。
最近よく乗ってるからな。

そして千裕に目を向ける。

「久しぶり。」
「うん。久しぶり。」

少し俯いたまま答える。
恋人として会うのは初めてだから緊張しているのだろうか?
…それとも昨日の俺のせいだろうか?

とりあえずなんか喋って緊張を解さないとな…

「いや〜久しぶりに会うと緊張するね。」
「そだね。」

バカか俺は?
余計に固めてどうする。
思わず思った事をそのまま口にしてしまった。

ふと目をやると千裕の胸元に見覚えのあるものが…


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