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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜転生花・返り咲き〜-3

日が沈み、暗くなり出した頃に豪華な馬車が紅館の門を通って玄関の前に停まりました。
外で待っていたハイネルシスさんと新人のアリス君が馬車に駆け寄り扉を開けます。
笑顔を心がけ、精一杯かつ自然な笑みを降りてくる人に向けます。 が……………
(時々ありませんか? 困るお客様。
例えばそう、旦那様の上司とか………)
馬車から降りてきた人を見てアルネさんが固まりました。 もちろん私も。
紅様の唯一の上司と言える。 国王様を見て。
(アルネさんの嘘つき………階級高い人を早くには来ないって………)
心の中で泣いても仕方ありません。 ささっと駆け寄って行儀良く礼をする。
『ようこそいらっしゃいました、陛下。』
国王様は以前舞踏会で会った時のことを覚えていて下さったようで、私を見ると微笑まれました。
『ほほぅ、元気そうじゃの、シャナ嬢も。
いや、大公爵が羨ましいのぉ。 以前より美しくなられた。』
『本当に………シャナさんは大公爵殿にふさわしいですわね。』
馬車からはエレン姫様も降りてきました。 国王様が護衛も無く、臣下の屋敷に赴くなんて驚くばかりですが、それだけ紅様は特別ということなのでしょうか。
お二人と軽くお話をした後、なんとか粗相せずに国王様達をご案内出来ました。

私とアルネさんは溜め息をつきました。
『………いきなり国王陛下がいらっしゃるなんて………』
『驚きました………以前のパーティーにもいらっしゃったのですか?』
私が聞くとアルネさんは首を振りました。
『そもそも、紅様の誕生パーティーなんて初めてよ。』
アルネさんの言葉に私が驚くとアルネさんは言葉を続けました。
『あなたよ、シャナさん。 あなたが居るから紅様が祝う気になったわけ。』
私………ですか?
自分で自分を指差すとアルネさんは笑いだしました。
『そ、あなたが来るまでは紅様の誕生日なんて何にもなかったのよ。』
そう聞くと何故だか嬉しくなりました。 紅様の中で私の存在がしっかりと意識されている。
今となっては当たり前を、また再認識したのでした。
ガラガラと音がして、また紅館に馬車が入ってきました。
ただ今度は良く見慣れた馬車です。
『紅様がおかえりだわ。』
紅様の馬車が玄関の前まで来てハイネルシスさんが扉を開けると、紅様が降りてきました。
『おかえりなさい、紅様。』
『ただいま、シャナ、アルネ。
私の代わりをしてくれていたみたいだね。』
ドレス姿の私達を見て紅様が言いました。
ふと紅様が降りた馬車が揺れ、もう一人の人が降りてきました。
『あ………』
『やぁっ、アルネ♪』
ニコニコ顔のキシンさん。 格好良い軍服姿でした。
ただ、対するアルネさんが………
『………』
目が………線です。
横線一本になってます………
『つ、冷たい反応だなぁ………』
明らかな拒否反応にキシンさんは少したじろいだようですが、それでもアルネさんに近寄りその手にそっとキスをしました。
『エスコート、させてくれないか?』
『………仕事中。』
ぷいっと横を向いてしまったアルネですが、頬が赤くなっていました。
どうやら、急だったため恥ずかしかったようです。
『アルネ、あとは私とシャナで応対するから、先に楽しみなさい。』
紅様がそう言ってやっとアルネさんは、仕方ないわね、と呟いてキシンさんの手を取りました。
でもなんだか嬉しそうです。
そして二人は会場に歩いていきました。


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