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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜転生花・返り咲き〜-4

『ふふふ、アルネは恥ずかしがり屋だね。』
『そう、ですね。』
なんだか可愛い、と思ってしまいます。
それからは紅様と私でお客様をお迎えしました。
紅様が一人一人のお名前を教えてくれましたが、やはり来る人が多くて覚えきれません。
しかし全体としては30人にも満たないのですけど。
紅様の誕生日パーティーなので、特に親密なお付き合いをしている方達だけを招待したそうです。
皆様、とても立派な服装をしています。
貴族の方は公爵様や侯爵様ばかり、伯爵様も数人ですがいらっしゃいました。
しかしそんな中、次に来た方は変わっていました。
『おや、来たようだね。』
紅様の声に、私は門を見ました。
すると一台のちょっと古い馬車がゆっくりと入ってきます。
引いている馬は一頭だけ、それもかなり年老いているようです。 お世辞にも裕福な様子ではありません。
馬車が停まり、中からは少年のように背が低い人が飛び降りてきました。
『大公爵殿、お招きありがとう!』
かぶっているシルクハットを取ったその方の顔は、シャム猫でした。
獣人も二種類います。 人よりなタイプ、紅様みたいに獣の耳や尻尾だけの方と。
この方のように獣よりのタイプ、全身獣毛に覆われていてまさに獣人という感じを受けます。
『やぁ、テムテム。 紹介するよ、私の妻だ。 名前はシャナ。』
心無しか紅様は先程までのお客様よりも嬉しそうにテムテムさんに話しかけている気がしました。
『シャナ様、お初にお目にかかります。 テムテム=シーブオーツカと申します。』
しなやかな印象を受けるお辞儀をされて私もつられて頭を下げました。
『猫男爵テムテム。 民からはそう呼ばれております。』
男爵、現在の爵位では一番低い爵位だった。
しかし紅様の様子からは身分関係なく、深い繋がりがあるようです。
『テム〜、リシャリシャは〜?』
馬車から声がしてテムテムさんとは対照的に背の高い女性が降りてきました。 獣人ですが、この方は紅様のように頭に猫の耳、お尻に尻尾があるだけです。
『紹介しますシャナ様、私の妻、リシャです。』
質素なドレスに身を包んだリシャさんがペコリとお辞儀をする。
テムテムさんと並ぶと、まるで親子のような身長差です。
『よろし〜く〜、シャナ様〜♪ リシャリシャ、感撃だよ〜♪』
『リシャ、それを言うなら感激だよ。』
妻の間違えを夫が素早く直す。
『まぁまぁ、さてこれで出席者は全員だから会場に行こうか。』
紅様とテムテムさん、二人とも伴侶の手をとって会場に向かって歩き出した。
紅様はテムテムさんといろいろと話していました。 それは政治の話ではないようですが私にはわからない内容です。
会場まで後少しの所で、ふと私達の前に立ちはだかる人が現れました。
それはゼロさんでした。
ムム〜、と口を横一文字にしてリシャさんを指差します。
『来たなぁ! リシャリシャ! 今日こそ決着つけちゃうぞぉ!』
リシャさんもゼロさんを見た途端に口を横一文字にして指差します。
『その意気や良し! 受けて立つぞ、我が好手敵ー!』
『リシャ、好敵手でしょ。』
間違えを指摘され、ニャム……と一旦リシャさんの勢いが収まりましたがまたすぐに復活しました。
『我が好敵手ー! 今夜も「十枚お肉デスマッチ」だぁ!』
気のせいなのか、雷が落ちるような音が聞こえたような………?
バチバチと火花を散らした後、ゼロさんとリシャさんは二人して会場に駆け込んでいきます。
『リシャさんとゼロさん、仲が悪いのですか?』
二人の様子を見て不安になった私が尋ねてみると、紅様はちょっと首を傾げながら困った顔をしました。
『そういうわけじゃないんだけど………まぁ、ライバルかな。』
『丸っきり違う所とまったく同じ所がたくさんありますからね、二人には。』
テムテムさんの表情が微笑んでます。
『まぁ、あれが無ければね………君のところは財政が厳しいんじゃないかい?』
『はは………妻のためですよ。』
まだ私はその意味がわかりませんでした。
が、会場に入ると唖然とする光景に全てを悟りました。


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