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いつか、目の前に
【コメディ 恋愛小説】

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いつか、目の前に……(追跡)-1

5月、ゴールデンウィークも過ぎ去り、いよいよ中間試験の季節が手を振りながらこちらに一歩、また一歩と憂鬱な空気をかもしだしつつ近付いてきていた。
ミナモとの朝の会話もすっかり定番となり、それなりに彼女との距離を縮めることに成功していた。
だが、やはり彼女には謎が多い。
第一の謎 休み時間、並びに放課後には霧のようにいなくなる。
第二の謎 授業中はほとんど窓から幼等部を見ている。
とりあえず俺なりに彼女の行動にある仮説を見出だした。
彼女は休み時間と放課後には幼等部へと行っているのではないか。
理由は分からないし仮説があっているかも確かではない、やはりリサーチする必要がありそうだ。
「北っち!!」
「西口ぃ、今考え事してるんだ。 後にしろ」
昼休み、昼食を素早く済ませた俺は自分の席で冒頭の部分のようなことをせせこがましく考えていたのだが。騒がしさを絵にした様な男、西口が東山と南原を従えて俺の邪魔をしにやって来た。
「えぇぇ! 北っちが考え事ぉ!!」
「おいおい、熱でもあるんじゃねえか?」
東山は本気で心配そうな顔で俺のでこに手を置いた。
「……、熱はねぇみてぇだな……」
当たり前だ
「何を考えていたのかなぁ? あ! 例のあの娘のことかにぃ〜」
するどい
「西口、あまりいじめてやるな」
いつも冷静な南原が西口に待ったをかけた。 やっぱりお前は俺のよき理解者だよ。
「それでなくても、叶わぬ恋に踊らされて悩みが尽きないのだからな」
前言撤回
「確かに、あのなんていったかな? そうそう、七鳥とかいったか。 あいつスゲェ美人だし、スタイルいいし、人当たりも成績も運動神経も良好。 北川には高嶺の花もいいとこだな」
「ひがっちゃんの言う通りだね。 北っちとじゃ釣り合わないっぽいよね。 まるで陣内と紀香みたい」
二人の言葉が胸に深く突き刺さる、自分でも感じていることを他人に指摘されるとショックは倍になる……。
「えぇい! 五月蠅い! 考え事してるっていってるだろ邪魔しないでくれ」
「だそうだ、西口、東山。 我々は退散するとしよう」
南原は二人を連れて席を離れて行った。
なんだか奴等のせいで休憩時間を無駄に使ってしまったな……
さて、どうやってリサーチしようか、それが問題だ……


放課後、俺はリサーチを開始した。
方法? なぁに簡単な事さ、尾行だよ。
え? ストーキングは犯罪?
いやいや、俺のはリサーチであってストーキングではない。
だんじて違う。
そう、だと思う。
そういう事にして置こう。
教室から足早にどこかに行くミナモ。
付かず離れず付いて行く俺。
ミナモが向かった先。
やはり俺の仮説通り、幼等部の校舎だった。
ちなみに俺はこの幼等部出身だったりする、母親が結婚するまでここで保母さんをしていたからだそうだ。
よって内部の間取りは大体頭に入っている。
俺は正面玄関から右手にまわった、そこはつつじの低木が垣根のように植えられている。
そこに身を隠しながら、慎重に進んで行く。
幼等部の部屋はすべてこのつつじの垣根に向かって窓がとられている。
入口から最も奥の窓、確か職員室のような部屋だったように思う。
そこから、ミナモの声が聞こえた。


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