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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-109

「よっしゃ、始めるか」
 栄輔が主審となって、試合は始まった。
 1番の栄村が右打席に入る。晶が投じた初球は、アウトコースの低めを貫いていた。
「ストライク!」
 セオリーの通り、じっくりと球筋を追う栄村。慎重になっているのは、小学生には負けられないという“気負い”があるからだろう。
 だがそれは、そのまま“固さ”になってしまう。栄村は何球かファウルを重ねた後、凡フライに倒れた。
 2番打者は、大和である。
(よし)
 彼には、気負いはない。栄村が打席の中にいるうちに、冷静に晶の球筋を見つめ、タイミングをある程度は測りきっていた。
 晶の脚が上がる。大和は、身体中のバネを捻るように筋肉を引き締めると、その初球を待った。
「ボール!」
 アウトコースをわずかに外れる、ボール球で入ってきた。微妙なところを攻めてきたのは、晶も大和を警戒しているからだろう。
 二球目、今度はインコースである。球威を量るためにも、大和はスイングを始動していた。

 キン!

 痛烈な打球が、一塁線を襲う。しかしそれは、ベースのはるか左側を通過し、ファウルゾーンで土を削って跳ねるに留まった。
「ファウル!」
(振り遅れたのか。伸びがあるな……)
 確かにこちらは“当てにいくだけ”の加減を抑えたスイングではあったが、横から見ていたときはわからなかった、手元での伸び具合に大和は唸った。
「………」
 大和の集中力が高まっていく。彼の感覚は、マウンドに立つ晶のことを相当の投手だと嗅ぎ取っている。それに刺激された負けん気が、彼の中で何かを燻らせていた。
 三球目。アウトコースへのストレート。
「!」
 大和は鋭い腰の回転から、引き絞った筋肉のバネを爆発させた。

 キィン!

 切り裂くようなスイングスピードで捕らえられた軟式ボールは、瞬く間に宙空を駆け上がり、練習場を取り囲むようにして群生している林の中へ打ち込まれた。
「………」
 量るまでもなく、本塁打に等しい打球である。
「おおっ!」
「わあっ!」
 両軍のベンチが沸いた。双葉大の方は、新参の大和がいきなり結果を出して見せたことに感嘆し、城南エスペランスの方はその打球の痛烈さに驚嘆している。
「ナイスです!」
 そんな中、ベースを一周する大和に向かって、新監督のエレナが喜色満面に拍手を繰り返していた。

 大和の一発は互いに度肝を抜いたが、それ以降は締まった試合を繰り広げた。
 程度を抑えているはずの晶のストレートに対し、それでも双葉大の面々は凡打の山を築いている。城南エスペランスの守備と連携はよく鍛えられていて、内野の間を抜きそうな打球も彼らは難なく捌き、アウトを連ねた。
 一方で雄太も、相手が小学生だということに対する慢心はなく、普段の力を出して出塁を許さない。特に、あの大きなカーブは変化球に慣れない小学生には威力絶大であった。
(大人気ないって、いうんじゃねえぞ)
 本気で負けられないと思っているから、彼は全力で小学生と対峙している。まだ桜子はリードに慣れていないところがあるから、配球のサインは主に雄太から出していた。
「ストライク、バッターアウト!」
 早々と2回が終了し、3回の表に移る。この回の先頭打者は、桜子である。
「晶さん、お願いします!」
 二人は良く知り合っている仲だ。だが、勝負をしている今は普段の穏健さを微塵も見せることなく、晶は桜子に対峙していた。


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