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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-11

「いえ、この程度ならなんの問題もありません。」
そしてフィオは
「そのくらいなら当然」とばかりにクールに返した。
「さっすが俺の女!」
そのフィオをヴェイルは茶化してみせた。
「誰があなたの女よ!!」
そしてそれに顔を赤らめてツッコむフィオ。
「はははは
っと冗談はここまでにして
これからいよいよヒーティアを制圧する。」
「やはりアルマー大陸に進軍するのか」

「ホーリーを、アレスターを倒すためにはまずヒーティアを抑えておきてえんだが、恐らく今回の敗北でヒーティア軍にホーリー軍が加勢する可能性が大きい。
そうなったらホーリーを倒すのが一層困難になる。」
「確かに」
「そこで一刻も早くヒーティアの本丸、ヒーティア城を制圧する。」
デェルフェムートは見据えていた今のヒーティアとの兵力差ならヒーティアを倒すのに数週間とかからないことを。
「だがお前らも疲弊してるだろうから、三日、三日間やるから充分休め。三日後にアルマー大陸への進軍を開始する。」
しかしアルス達の体を気遣い、三日間の猶予を与えた。
「ああついでに紹介しとくぜ、デュセル入ってこい」
デェルフェムートが王座の間の奥の扉に向かって言った。
すると扉から一人の少年が出てきた。
そしてその少年に向かってひざまづくヴェザード。
「よおデュセル」
ヴェイルはヴェザードと正反対に馴れ馴れしく話し掛けた。
「貴様!王子にむかってまた失礼な!!」
そしてヴェザードがヴェイルに説教をした。
「いやいい、ヴェザード、そこがヴェイルのいい所だしな」
しかしデュセルは咎める様子もなく笑顔でヴェザードをなだめる。
「こいつは俺の一人息子のデュセル。まあ跡取り息子だ。」
そしてデェルフェムートはデュセルを紹介した。
「この人がデュセル王子か!でもなんで今までいなかったんだ?」
首を傾げるフォルツ。
「ああ、こいつは王子でありフィオと同じく優秀な軍師なんだ。
今までこれから進軍する兵の体制を整えてもらっていた。」

「げええ王子がそんなことまでやってるのかよ!すげえな」
「まあ俺も最初は反対だったんだがこいつが自分だけ安全な場所でヌクヌクしてたくないってんでな」
アルスとフォルツはそれを聞き、あらためてジェラルドという国を見直したのであった。

そしてその後アルス、フォルツ、ヴェイルはとりあえず部屋へと戻り疲労した体を休めることにした。
「三日後・・・か」
部屋の腰掛けながら物深げにつぶやくフォルツ。
「どうした?」
それを気にしてアルスが尋ねた。
「・・・・いや、これでいいのかなって思ってさ。」
「だから何がだ?」
「戦争・・・このままホーリーを倒しても結局戦争は無くならない。
またいずれ争いが起きて誰かが傷つく。」
フォルツは真剣で悲しげな表情をする。
「確かにな、だけどホーリーを倒さなくちゃ戦争の犠牲とは桁違いの犠牲が出る。
今は余計なことを考えずに目の前のことに集中しようぜ」
ヴェイルは何となくフォルツの決意が揺らいでいる気がして必死に奮い立たせようと試みた。
だがフォルツはそのまま何も言わずにベッドに潜ってしまった。


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