投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 26 『STRIKE!!』 28 『STRIKE!!』の最後へ

『STRIKE!!』(全9話)-27

「好き」
 小さな、しかし確かな晶の告白。
「あたし、木戸が好き。いつもどこでも野球ばっかりだけど、でも、そんな木戸だから…好き」
「こ、近藤……」
 亮自身、女の子にそういわれるのは初めてだった。でも、悪くはない。いや、とても嬉しい。
 この前は、状況が状況だっただけに場に流された感情もあったろう。しかし、改めて思えば、やはり自分は……。
「近藤」
 そっと、その肩を抱いて、晶の顔が見える距離に身体を離す。少しだけ、潤んでいる晶の瞳に、高揚する気持ちを抑えられない。
 それでも、なんとか冷静さを保ち、亮は言った。
「お、おれも……好き、だからな」
 途切れ途切れに、その胸に宿した想いを。
 初めて目にした、ビデオのなかで躍動する姿。甲子園の風に舞った黒髪。賭け野球の中で、寂しそうに俯く仕草。そして、今日、マウンドで弾けた眩いばかりのその笑顔。
 そうだ。亮はもう、かなり以前から晶に惹かれ続けていたのだ。
「近藤」
「……亮。そんなの、もうイヤだ」
「……あ、あ、晶」
「ん」
 晶は、満足そうに微笑むと、つま先だって目を閉じた。
 ぐ、と息を呑んでから、油のさしていない機械音でも聞こえそうな動きで、亮は、少しだけ開いているその小さな唇に、自分のものを重ね合わせた。
 唇だけが、触れるキス。それは、あの日のように。しかし、想いの繋がり方は、その比ではなかった。
 お互いに触れた部分が、とてつもない温度を放ち、それを相手に伝えているようだ。身体の中に燃え上がってくる炎は、いま、どんな形をしているだろう?
「ん……んん……」
 ……亮は、息苦しくなってきた。なにしろ、大きな通風孔は塞がっているのだ。
「………は、はあ」
 たまらず、唇を離して息を吐く。
「むぅ……」
 期待していたよりも、心持ち短い接触時間に、晶はちょっと膨れた。
「息、止めてたの?」
「え?」
「息、止めないでいいんだよ」
「………」
「息できるの、口だけじゃないでしょ」
「そ、そうか」
「…………っ、ふふっ………あははははは!」
 堪らず、晶が吹き出した。
「こ、この。失礼な、ヤツだな」
 笑われる理由がわかっているから、亮は決まりが悪くて恥ずかしくて、あんまり強くいえない。
「ごめーん」
「ええい、リベンジだ!」
 そう言って、やや荒めに晶の肩を支えると、今度は滑らかな動きでその唇を塞いだ。あまりに急なその所作に、今度は晶が戸惑う。
「………」
 思わず見開いていた瞳だったが、しかしそれが、亮の真っ赤な顔を網膜に捉えたとき、穏やかさを取り戻して静かにゆっくりと閉じていった。
 閉じられた暗闇の中で感じられるのは、唇の柔らかさと熱さ。そして、今度はしっかり聞こえる亮の息づかい。それが、体内にある自家発電をフル回転させ、熱エネルギーを全身に振りまく。
 さっきよりも長く繋がっていた唇が離れたとき、二人は何も言わずに、互いに求めているものを伝えるように見つめ合っていた。




『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 26 『STRIKE!!』 28 『STRIKE!!』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前