投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 187 『STRIKE!!』 189 『STRIKE!!』の最後へ

『STRIKE!!』(全9話)-188

「………」
 そして、そのチェンジアップを巧みに使い、晶の持ち味をさらに引き出している亮にも力強いものを感じる。
 今度の試合に勝てば、隼リーグ総合優勝を勝ち取ることができる。そして、甲子園で行われる東西対抗戦に臨むことができる。
(そういえば)
 昨季の今頃は、松平が抜けた穴を必死に埋めようとしていた。後期から試合に出るようになった亮を除いて、レギュラーメンバーが軒並み退部していく事態の中、上級生で只ひとり野球部に残り、新キャプテンとして後輩たちと活動を続けていた。
(あの時と比べると、今が信じられないな……)
 昨年は、前期も後期も相手にならずに大敗した櫻陽大学と、今季は優勝をかけた戦いができる。リトルおよびシニア・リーグにいたときも、高校野球で汗を流していたときも、まったく縁のなかった“優勝”という二文字を目の前に、直樹は試合をしてもいないのに高揚していく自分を感じていた。
「今日はこれまで。試合まで1週間あるが、みんな体調には気をつけるように」
「はい!」
 練習は、日が暮れてからしばらく続いて終了した。隼リーグでの軟式野球部の活躍が知れたのか、大学側はグラウンドを寡占していることにクレームをつけるどころか、夜間照明の使用まで許可してくれている。おかげで、大学が定めた許可時間である9時まで、充実した練習を行うことができた。
「それじゃーの」
 赤木が先に帰路に着いた。それを契機に、メンバーはそれぞれ散っていく。
「晶、帰ろう」
「うん」
「エイスケ、帰りましょう」
「おう」
 いまやチームの中核となっている2年生カルテットもまた、家路の人となった。それぞれ直樹と玲子に言葉を残して。
「ふふふ……」
「玲子さん?」
 仲睦まじく寄り添って帰り道を行く二組の背中を見て、玲子は微笑んだ。
「なんか、青春してるよね」
「あ、ああ……そうだな」
 つ、となにやら傍に近づく玲子。直樹は、交際をはじめて1年になろうとしているこの年上の恋人が、この時点で何を考えているか、わかる。
「ね、直樹君」
「う、うん」
「研究室で、一服しない?」
「………」
 コーヒー出すから、と玲子ウィンク。その仕草に直樹は彼女の求めていることを知り、節操がないとは思うが、熱いものが身体中に散った。



「ん……んむ……んん……」
「くっ……」
 その妖艶な舌使いが、敏感になっている処を這いずり回る。腰を源にじくじく湧き出してくる蕩けるような痺れが、直樹の脳裏に星を散らせた。
「んぷ……ちゅ……はむっ……んふっ……」
 そんな直樹の反応を愉しみながら、彼の股間に顔を埋めて、玲子は奉仕をする。何度となく舌を這わせ、口に含んだその部分なのに、玲子の中で尽きせぬ愛情が、口の中に広がる彼の熱さと相俟って、身体に熱を生んだ。
「んっ……んんっ……」
 玲子の喉が鳴った。髪を、直樹に撫でられたからだ。それだけで、熱は更に温度を上げ、欲望の融点を越えてしまう。
 それが示すもの……玲子は己の深奥から溢れてショーツに滲んでくる、粘った熱湯を感じた。
「んふふ……」
「れ、玲子さん……人、来ないのか……?」
「大丈夫……鍵、閉めてるから……」
 はむっ、と、一旦口を離していた直樹の欲棒に再び奉仕を始める玲子。彼女にあてがわれた研究室には、何かを吸い込みしゃぶっている淫靡な音と、直樹の深い息づかいが響くのみだ。
 練習を終えた後、二人はとりあえず研究室でコーヒーを片手に談笑していた。それは野球の話題であったり、今日の講習会の話題であったりしたわけだが、気がつけばこんなことになっていた。
 もっとも、コーヒーを名目に誘われた時点で予感はあったから、直樹もそれほど驚きはしなかったのだが…。


『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 187 『STRIKE!!』 189 『STRIKE!!』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前