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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-159

「すまない……」
 荒いセックスの場合、ナニが終わった後、いつも亮は申し訳なさそうに謝ってくる。自分の欲望を先走らせて、晶の身体を弄ぶように犯したことが、本人としてはあまり心地の良いことではないらしいのだ。
(いいって、言ってるのに)
 晶としては、優しい愛撫に終始する普通のセックスも好きだが、狂うぐらいに激しく犯されるセックスも悪くないと思っている。亮のことを本当に好きだから、彼が望むままに愛されるのは、どんな形であれ晶には気持ちがいいのだ。
(それにしても)
 今日はいったい何が亮の“獣化”を引き起こしたのだろう? 場所は亮の部屋であり、時間帯もいつもと似たような時のセックスだったのに。
「あ」
 思い当たることがひとつ。
「ね、服着たまま最後までしたの、初めてだよね?」
「うっ」
 図星らしい。亮の顔が見る見るうちに真っ赤に染まり、湯気が出そうなほどになった。
「なんか、いやらしーこと、想像したんでしょ?」
 うにうにと紅くなっている頬をつつく。ちょっと亮のことをいじめようかな、と小悪魔が顔を出している晶である。
「言ってくれたら、今日のこと許してあげるよ」
「〜〜〜」
 もともと許すも許さないもないのだが、性的なものに関して基本的に照れ屋な亮だから、こうでも言わないと白状しないだろう。
「わ、笑うなよ」
 亮は主導権を晶に渡している。仕方なく、彼を妄執に誘った最大の原因を告白した。
「……エプロン」
「はい?」
 そういえば、あの時、エプロンをずっと身につけていた。亮の兄・務が来ていたこともあり、晶はすっかりそれを脱ぐのを忘れていた。
「ぷっ、くくく……」
「あっ、笑ったなっ」
 むくれる亮。朴訥で年齢以上に大人びた雰囲気もあるけれど、彼もしっかりと男の子である。一般的な統計に、例外なく当てはまっていることを知り、晶はそれが可笑しくてつい吹いてしまったのだ。
「あたしのエプロン姿に、欲情しちゃったんだ」
 うりうり、と更に頬を突っついて亮をいじめる。しかしふと疑問がわいて、それをそのまま亮に質す。
「今までだって、料理の時はしてたよ? なんでまた急に?」
「あー……」
 亮はもう観念したように、全てを洗いざらい告白することにした。
「……兄貴の話に、ちょっと刺激を受けた」
「え?」
「晶と同棲してるようなもんだって、はっきり言われたからさ……なんか、意識しちまって……」
「………」
「そんな感じで、エプロンしてる晶を見たらさ、その、“新婚みたいだな”と………」
「……っ」
 きゅうぅぅぅ、と晶の胸が切なくなった。“新婚”というフレーズにときめくのは、晶も年頃の女の子ということだ。
「ずるい」
「えっ」
 晶は、指をつつつと胸に這わせた。そのくすぐったさに、僅かに身を捩らせる亮。
「あたし、また濡れちゃったよ……」
「あ、晶……」
 晶は身を起こすと、そのまま覆い被さるように亮の顔に唇を寄せる。頬にくちづけを贈った後、唖然としたまま軽く開いている亮の唇を浅く塞いだ。
「ね、もう一回、しよ……今度は、優しくして……」
「あ……」
「好き、亮……だから、いっぱい愛して欲しい……」
「……ああ」
 亮は晶の腰を抱くと、そのまま体勢を入れ替えた。
「晶……俺も、好きだ……」
「うん……」
 そして亮は、うっすらと汗ばんだ愛しい晶の身体を、今度はいたわるように優しく愛撫を始めたのであった。





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