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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-143

「出逢ったときからね……好きだったんだよ」
「そ、そうなのか?」
 二人の初めての出会いは、大学の入学式のとき。晴れの舞台に遅刻して、悟が困ったように式場を伺っていたとき、同じように遅刻してきた渚に腕を引っ張られて一緒に中に入ったのが、思い出の始まり。
「みんな、こっちを見てたよね……なにしろ」
 警備員を引き連れていたのだから。それにも関わらず、快活に笑って、壇上の理事長に陽気な挨拶をのたまった渚。あっという間に、会場を笑みで埋め尽くして。
「あとでふたりして、叱られたけどね」
 そんな渚に、不思議な魅力を感じた。
 溢れてくるような、元気の塊。表裏のない、豊かな表情を持つ少女。
 悟とて、今まで女性との関係がなかったわけではない。もちろん、身体を重ねる関係も数度はあった。しかし、長続きしなかった。
 飽き性だったわけではない。むしろ、ふられてばかり。いつもニコニコしているのはいいが、どうも何を考えているかわからないというのが理由らしい。
 わからないというのなら、それは悟とて同様だった。たとえば、恋人同士の関係でありながら平気で他の男と体を重ねる相手もいたし、好きな人が他にできたからといって簡単に関係を切ってくる女性もいた。面と向かえば睦言を繰り返しながら、その裏ではいくつもの顔を持っていることが、悟には理解しがたいところだった。甘いといえば、返す言葉はないのだが。
 そんなとき、渚と出会った。気持ちを、真正面からぶつけてくる少女。その表情に仕草に、余さず全てが映っている元気な少女。
 しおらしさに欠けるといえば、そうかもしれない。だけど、悟は知っている。
「渚……」
 彼女が、とても心根の美しい優しい女の子であることを。
「好きだよ…愛してる」
 もう一度、その耳元に想いを注ぐ。繋がっている部分から、渚の高まる鼓動が伝わってくる。
「………」
 ぎゅ、と両手が背中に廻った。渚の鼓動が、今度は触れ合った肌からとくとくと聞こえてきた。
「さとる……オレも……好き……」
「………」
「好きだよ……オレも……さとるのこと……大好き、だから……」
 ずっと傍にいて欲しい。何処にも行かないで欲しい。また一緒に、野球をして欲しい……。
 だけど渚には言えなかった。彼女は知っている。悟には……今、自分を抱きしめてくれている愛しい人には、大きな夢がある。
 それを、自分のわがままで、奪うわけにはいかない。彼を引き留めてしまうような言葉は、決して口にしてはいけないのだ。そう、自分に言い聞かせる。強く言い聞かせる。そうしないと、涙が出るのを抑えられないのと同じように、唇から言いたくないはずの言葉が漏れでてしまうから。
 だから今は、こうやって彼の熱さを胎内に迎えられただけでいい。この時間が、長く、できうるかぎり長く続いて欲しかった。
「あ……」
 そうして暖かく抱き合っていたふたり。しかし、やがて悟に限界が訪れた。動いていないとはいえ、胎内でうねる渚の粘膜に包まれているうちに、高まったものがすぐそこまで溢れてきたのだろう。
「渚……出そうだよ」
「そ、そう……ん…いい、よ……このまま……」
 それならば、悟の全てを受け止めよう。渚は、抱きしめた腕に力を込める。
「あっ……く……」
 悟の眉が中央による。中で感じる悟の熱さが、粘膜を押し広げるように膨らんだ気がする。
「っ」
 瞬間、熱い迸りが、胎内に散った。
「あっ……あつい……すごく……」
 たちまち、渚の中が熱いもので満たされてゆく。それは、心の寂しさも埋めていく。
「あ、あ………さとる……さとる……」
 どくどくと脈打つ悟から、何度も何度も溢れる樹液に打たれ、渚は、女になった痛みをいつか忘れていた。





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