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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜双女花〜-1

私は一人…そう自覚するのが怖かった。
認めたくなくて、あがいていた、そんな時にあなたが居た。 ずっと私の隣に座って居てくれたんだね…私が気付かなかっただけなんだね…
これからは、二人だからね…寂しくないよ…

紅館に今日も朝がやって来た。ここはメイド達が居る水竜館。
真面目なメイド達の中でも、一番朝が早いのが…
『ん〜♪ 良く寝た〜♪
ゼロゼロ絶好調♪』
猫獣人のメイド、ゼロだ。(一人称ゼロゼロ)
彼女は非常に早寝早起き。用がなければ9時には寝て、現在の5時にはパッチリとお目覚めしている。
パジャマを脱ぎ捨てながらクローゼットに歩いていき、メイド服を取りだし着る。
『今日の朝御飯は焼き魚だ〜♪
ゼロゼロ魚大好き〜♪』
朝早くから満面の笑みではしゃいでいる。
ゼロは今年で19歳なのだが、愛くるしい猫耳と幼児体型、さらにこの明るい性格のせいか、12歳ぐらいに見られてしまうのがしょっちゅうだ。
そうこう騒いでいると、ゼロの隣のベットに寝ている女性がムクリと起きた。
ゼロとは対照的で、目を細めて眠そうに欠伸をし、ノソノソとベットから抜け出す。 これが、私だ。
『あ〜♪ スーちゃんおはよ〜♪』
私はゼロと相部屋なのだ。
私は長い黒髪が綺麗と言われる人間の女性だ。身長はゼロより30センチは高く、姉と妹のような感じだ。 …はたから見れば、だが。
私はクローゼットまで歩いていき、メイド服を取り出す。
『ね〜ね〜、今日って庭掃除だよね?きっと落ち葉い〜っぱいだから大変だね大丈夫ゼロゼロ頑張るからスーちゃん掃除嫌いだもんねというより家事苦手?見掛けによらないねテキパキ出来そうなのにこの前玉子焼き焦がしちゃったもんねでも美味しかったよ〜♪』
立て板に水。スラスラと早口で喋るゼロ。だが、私は朝に弱い、そうね…と一言返しただけだ。

二度目の欠伸をしてパジャマのボタンに手をかけるが、ふと視線を感じ手を止める。
『…着替えたいんだけど…
あっち向いてて?』
パジャマのボタンに手をかけながら、ベットに寝転んでこちらを見ているゼロに頼む。
『え〜なんで〜?
女の子同士じゃん♪』
と言うが、パジャマから見える胸の谷間を見るその視線はどう見ても下心見え見えであった。
実はゼロはレズビアンである。
『下心丸見えよ…』
はぁ…と溜め息をつき、パジャマを脱ぐ。
ピタリ…
背中に暖かくて柔らかい物が当たる。ゼロが頬を擦りつけているのだ…
『ん〜♪ スーちゃんのお肌スベスベ〜♪』
『ちょっと…着替えるんだから離れて…って!』
ゼロの手が何もつけていない両胸に伸びてきた。
『柔らか〜い♪
それにスーちゃん胸大きいよね? D?E?』
またこれだ…毎朝毎朝着替えに十数分かかる。
『Dよ、知ってるでしょ?
ホラ、離れて。』
両胸に触れている手をペシペシと叩き落とし、メイド服を身に付ける。
『スーちゃんつれないなぁ…』
しょぼんと耳を垂らしながら部屋の隅でいじけるゼロ。完璧に子供だ。
『はぁ…』
私はゼロに歩み寄り、トントンと肩を叩く。
『なぁに…?』
ちゅ…
ゼロは振り向き様に唇を奪われた。
軽く唇に触れるだけのキスを数回、それが済むと私は部屋の入り口に歩いていく。
『ほら、もう行くよ。』
『はぁ〜い♪』
すっかり機嫌が直ったゼロ。
文字通り、飛び跳ねながら後に続く。

ゼロとスー。
二人が言わば恋人の関係になったのはそう昔のことではない。
二ヶ月ほど前のことだ。
仕事に失敗して落ち込んでいたスーをゼロが励まして、少しお酒の勢いも借りた二人は一夜で友達の一線を越えたのだ。
もっとも、ゼロは初めから狙っていて、お酒を飲ませたのもベットに押し倒したのもゼロなのだが、その後も恋人関係を許している私も私だ。
今では紅館の皆が知り、そして認めているカップルなのだ。
「余談だが、スーは紅館に居る数少ない男性に高い人気があり、ゼロとの関係を知った半数が泣いたそうな…」

『お掃除お掃除ランララ〜ン♪』
ゼロは、スーが居れば常にハッピー。庭掃除も楽しいようだ。
だが、朝と同じくゼロとは対照的な表情をしているのが私だ。
まだ秋の始めなのでそれほど落ち葉はたまっていないのだが、家事全般が苦手な私には苦行だ。二三回箒を動かし休憩、また二三回動かし休憩を続けている。
『はぁ…ダルいわ…』
『あら、昨晩頑張りすぎたの?』
突然の声に振り返ると、金髪の長い髪のエルフ、アルネが立っていた。
『アルネさん…最近気配消す方法でも覚えたんですか…?』
『いいえ、あなたがボーッとしてるだけよ。
シャキッとしないとね♪』
ペシペシと背中を叩かれる。
あぁ、朝なのに元気だなぁ…
『あ〜! アルちゃ〜ん♪』
アルネを発見したゼロがスキップしながら走ってきて、アルネに飛び付く…が、あっさり避けられて枯れ葉の山にダイブする結果となった。


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