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impertinent teachar&student
【学園物 恋愛小説】

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impertinent teachar&student−4-1

テストを目前に控えた今日。
俺は2組の授業を終え、1組の前を通る。
もう今年、授業を教えるところはない。
テストが終わったら休みだ。
学校へ来るのはセンター試験を控えた生徒だけだ。
何気に1組を見る。
すると皆が一方に固まって、なんやら問題を解いているようだ。
皆は口々に、
「真田さん、これはどう解くの?」
や、
「宵ちゃん、これは?」
と言っていた。
男女関係なく、真田に質問していたのだ。
初めて見る光景だった。
人垣の合間から真田が見える。
真田は…
笑顔だった。

『先生の前ぐらいじゃないかなぁ〜こんなに笑うの』

以前にそう言っていた。

『好きです』

真田にそう言われたあの日以来、準備室に来ることはなかった。
なんだろ、この気持ち。
お気に入りのものを取られた…っていうのもしっくりこない。
悲しい…
何故が分からないけど、悲しい。
俺、もしかして真田に…?
そう思うと急に怖くなった。
いや…俺には、あいつしかいない。
あいつ以外考えられない。
そう思い直すことで、さっきの疑問を払拭することにした。


授業を終え、一服する。
何気にあのテーブルを見る。
いつも、あの席には真田がいた。

『先生、これはどうやって解くんですか?』

真田が持つ独特の雰囲気で、よく聞いてきた。
横を通られたら思わず振り向きたくなるような、そんな感じに似ている。
普段は下ろしたままの、肩が隠れるほどまでにある髪。
色は、元からなのか少し明るかった。
そんな髪を、ここに来た時はピンで上げていた。

『やるぞって気になるんです』

って笑いながら話してくれた。

机に向かって勉強する姿は真剣そのものだった。
それでいて、とても楽しそうにも見えた。
視線は俺が使っている机の端っこに行った。
そこには何個か飴があった。

『はい、先生。この飴美味しいよ』

そう言って真田はよくくれた。
甘いものが苦手な俺は、いつもそこにおいていた。
煙草を消し、その飴の中の一つをつまむ。
たまたま選んだのはイチゴミルク味だった。
普段なら絶対、選ばないような味。
それを俺は口に含んだ。
さっき吸っていた煙草の苦いのと。
イチゴミルクの甘いのが。
何とも言えない感じで混ざっている。
恋の味ってよく小説や詩なんかで表現されているが、実はこんな味なんかじゃないか。
甘いと思ったら、苦くなる。
そして、また甘さがくる。
それの繰り返しだ。
そして、時々しょっぱくもなって…
しょっぱい?
なんでしょっぱくなるんだよ?
俺は気付いたら涙を流していた。
なんで俺は泣いてんだろ…
何の為?
誰かを想ってなのか?

俺は頬を伝う液体を拭うことなく、飴を食べ終えるまで、ほっておくことにした。


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