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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-3

〈一章 魔物の影〉

それからしばらく歩き森を抜けると小さな村が見えた。
そこは周りが自然に囲まれていて、小さな民家が十軒ほどある喉かそうな村だった。
ジェラルド兵達も追ってくる気配は無く、二人はホッとした様子で歩く。
「やっと休めるな、腹も減ったしとっとと行こうぜ」
フォルツは村に向かって走り出した。
「おい待てよ、全くガキみたいに」
不満をこぼしながらアルスも後を追う。
アルスは村に徐々に近付くにつれ、その異変に気付いた。
「待て、何か変だぞ?」真剣な表情になるアルス。
「おいおい、ここまで来て冗談はよしてくれよ。」
それを見てフォルツはキョトンとした表情になる。
「人の気配がしない。」
「そうか?」
「とにかく行ってみるぞ」
「お、おお」
二人は村に向かって更に走る。
そして村に着いた二人は恐ろしい光景を目にする。
村のあちこちに村民のものと思われる亡骸がいくつも転がっていた。
「こりゃあひどい」
フォルツは嘆く。
見たところ死後数日は経っており、全ての死体に目立った外傷は無い。
頸動脈を切られたのだろう、首に大きな切り傷がある以外は。
そして辺りには先端が二つに別れた足跡が無数についていた。
「これは人間の仕業じゃない。解るかフォルツ?」
アルスはフォルツに尋ねる。
「はっきりとは解らないけど、この爪痕と足跡、これは恐らく・・・リザード」
【リザードとは体長2メートル程の爬虫類の怪物で、鋭い爪と高い跳躍力を持つ魔物だ。
そして魔物とはここ数年で突如世界に姿を表した新種の生物で、その中でも人間を襲うものを言う。
魔物にはリザードのように自らの肉体しか使わないものもいれば、呪文を使ったり魔力を自在に操れるものまでいる。】
「やはり魔物か、普通の人間じゃ太刀打ちできるはずもない」

そしてフォルツはふと少年の亡骸に目を向けた。
「くっこの国の討伐隊は何をやってんだよ」
フォルツは拳を地面に叩きつける。
【五つの大陸、レヴェンド、ゼルス、アルマー、カーフ、ノーヴ。
それぞれの大陸は一つの国が統治している。レヴェンド大陸はジェラルドが統治しているように、ゼルス大陸はホーリーという国が統治している。
そして討伐隊とは魔物の出現で犠牲者が続出したことにより、巨大な権力を持つジェラルドがそれぞれの国に、警護の強化と、要請があった場合に魔物の討伐を行うことを義務付け、その法によりそれぞれの国が組織している隊である。】
フォルツは少年の亡骸に近付き 手のひらでまぶたを閉じさせる。
「とりあえず、この人たちを埋葬してやろう」
フォルツがそういうとアルスは黙って頷いた。

そして二人は民家からスコップを持ってくると
黙々と穴を掘り続けた。それから一時間程経過する。
「緑の国、ホーリー。
治安がいいはずのこの国でもこんなことが起こるなんてな」
村民の数だけ穴を掘り終えるとアルスが口を開いた。
「しかたないのかな?ここ最近の魔物の増加は異常だ。いくら治安のいい国でも・・・・・」
「とにかく、いつ村を襲った魔物が出るかわからない、油断はするなよ」
「わかってるさ」
フォルツは頷く。
そして全ての村民を埋葬し終わった直後
「グエー」
という声と共に緑の影が走った。
それは村を襲った魔物。リザードだった。


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