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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-2

「ま、まさかお前」
フォルツはすぐにアルスの後を追った。
「イカれた野郎で悪かったな」
ジェラルド兵の肩を掴んで言うアルス。
「なんだお前?」
肩を掴まれたジェラルド兵がそう言うと、一緒に酒を飲んでたジェラルド兵だけじゃなく、店内にいる全てのジェラルド兵が剣を抜いた。
「俺は剣聖の名を継ぐ者だ。何人たりとも剣聖の名を侮辱する奴はブッタ斬る」
アルスも剣を抜いた。
「待て待て、待って下さいって」
フォルツが間に入る。
「フォルツ、邪魔するな」
「馬鹿、ジェラルドなんかに手出したら大変だぞ、ここは俺に任せろ」
フォルツは小声で言った
「いやあ、すみませんねえ、こいつ酔っ払っちゃてまったく。」
フォルツは明るく振る舞う。ジェラルド兵達もそれを見て少し戸惑う。
「こいつにはちゃんと言い聞かせときますから今日のところはこれで」
フォルツはアルスが肩を掴んだ兵士にこっそり金貨3枚を渡した。
「ふん、まあいい、今日はせっかくの休暇だ。見逃してやる。だが次はないぞ」
そう言うとその兵士は剣を収める。
それを見て周りのジェラルド兵も剣を収めた。
フォルツはそれを見てホッと肩をなで下ろす。
アルスはチッと舌鳴らしをし、不満気に背中の鞘に剣を収める。
「いやあさすがジェラルド兵さん。心がお広い。」
フォルツは手をこすりながら言った。
「ふん、ヘラヘラしやがって腰抜けが。腰抜けはとっとと消え失せろや」一人のジェラルド兵がフォルツに酒をかけた。
「いいかげんに」
アルスは再び剣に手をかけようとした。
「いいんだアルス。さ、さあ、そろそろ、で、出ようか」
フォルツは苦笑いをしながらアルスの肩を叩く。
「そういやお前さっきフォルツとか呼ばれてたよな?大魔導士の名前なんて名乗りやがって。そっちのガキが剣聖目指してて、お前は大魔導士でも目指してんのかよ?とんでもない二人組だなあ」
それを聞いて店中のジェラルド兵が笑う。しかしフォルツは一緒に笑っていた。
「特にお前、そんなヘラヘラ、ひょろひょろしたなりで胡散臭いジジイ目指しちゃうってもはやギャグだなー。どうせガキの火遊び程度の呪文しか使えないんだろー?」
ジェラルド兵達は更に笑う。しかしフォルツはもう笑ってなかった。
「だったらガキの火遊びかどうか体験してもおうかなあ」
ジェラルド兵に向けて杖を構えるフォルツ。
「シャインアロー!」
フォルツは光の下位呪文を使った。
光の矢がジェラルド兵達に向かって飛んでいく。
「ぐわあああ」
フォルツはもちろん手加減はしたが
悪態をついていた兵士とその近くの兵士数人が店の外まで吹き飛んだ。
「貴様等!!」
それを見たジェラルド兵達は剣を抜きアルスとフォルツに一斉に向かって来た。
「おい、おまえさっき俺に何て言った?」
「いやあ、事の成り行き上さ」
「まったく。とっとと逃げるぞ」
そしてアルスとフォルツは店の窓を破り逃走する。
そしてしばらくの間レヴェンド大陸で逃亡を繰り返した後、船でゼルス大陸に渡り 今の状況に至る。》

「おい、なにが俺のせいだ、ほぼお前のせいだろ」
「まあまあ、細かいこと気にすんなよ。過ぎたことなんだからさ それに最初にふっかけたのはお前だしさ」

「それはそうだが」
「だろー?やっちまったこと気にしてないで今は前を向いて生きようじゃないか」
勢い良く立ち上がるフォルツ。
「まったく調子のいいやつだ。まあとにかく村か町でも見つけて休むとするか」
アルスも腰をあげた。


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