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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ4-2

「でも……じゃあなんで付き合ってないの?告ったんでしょ?」
「う……」
「あー♪由貴ちん、恥ずかしがるとすぐに何でもぶん殴るもんね♪そりゃ告れないよねー♪あ、でもでも、そのくせすっごい甘えんぼさんだもんね♪」
「う……」
「あー♪葵わかっちゃった♪これが最近すっごく流行ってるツンデ…」
「あんたは!どうして!いつもそうなのよぉぉぉ!!!この天然バカぁぁぁ!!!」
由貴のライオンのような絶叫が響いた。ここが喫茶店だということを忘れているのか。
隣のテーブルに座る、スーツのおじさんの視線が痛い。
「でもさ…由貴ちゃんのその自慢のバストがあれば、イチコロだったんじゃないの?」
悦乃がきょとんとした顔で言った。
「…………」
「…………」
あえて、由貴のバストについては流しておこう。

「こほん……葵は?誰がタイプ?」
由貴は自分を落ち着かせるために一つ咳払いを入れた。
「んー………」
葵はひどく悩んでいる。
「ちょっと悦乃…いやな予感がするのはあたしだけ?」
「今回ばかりは私もちょっと…」
葵がかなり悩んでいるのを見ながら、二人で耳打ちをする。
「えっとー、うちはやっぱり三人♪」
「は?」
「……やっぱり」
由貴と悦乃は呆れている。
しかし悪びれずに言う葵。
「だってー!三人とも普通にレベル高いじゃん♪誰と付き合えても幸せになれそうだからね!」
「………」

葵はよく、“幸せ”という言葉を口にする。
彼女にとっての幸せとはどういうものなのだろうか。


「最後ー♪えっちゃんだよ!」
悦乃は見るからに困った顔をしている。
「えっと…私は……」
「悦乃……言えないならいいのよ」
由貴は落ち着いた声で言った。
「うん…私はまだよくわからないの…」
悦乃はしゅんと肩を落とした。
「気にしないの♪それでこそえっちゃんだしー♪」
葵も笑いながら言う。
「なにそれー!でも、二人ともありがとう」
「あはは♪」
先ほどの喧騒とは打って変わって和やかな雰囲気になる。

恋ができたらいいな。


タラララッター♪
「あ、灰慈くんからメールきた♪」
葵はキラキラに装飾された最新のケータイを開き、細い指でカチカチと手際よくキーを叩いた。
「えっと、“今日は楽しかったね”だって♪」
「わざわざ葵ちゃんだけにメールしてくるなんて、よかったね」
悦乃が笑いかけた。
しかし、メールを送ってきたのは紛れもない、あの“冬堂灰慈”だ。

ピッピッピッピ…
「ん?」
ジリリリリリン…
「あれ?」
予想通り、全員にメールがきた。
「アハ…ハ」
「まぁ…ねぇ…」
気まずい雰囲気が漂う。


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