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友情の方程式
【学園物 恋愛小説】

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友情の方程式3-2

『あ、加藤』
駅のホームにはいつもはいないはずの加藤がいた。…いや、いつも早い俺が、この時間にいる方がおかしい。
もう周りは薄暗くなっているところだ。
『あれ?中山じゃん。こんな時間に。』
重そうなエナメルバックを肩にかけながら話かける。
『え、あ、暇だったからその辺を見てた』
『そう。』
『そっちは?』
『部活だよ。』
にこっと愛想よく返してくれる。…この笑顔は絶対嘘だな。だって、この加藤が俺に愛想笑いなんてするはずがない。そんな気を遣い合うような仲ではない。
『…もしかして、結構応えてるんじゃねーの?』
さらっと聞いてみた。
『…そうでもないよ。』
真顔で答える。
『…ホントに?』
顔を覗き込む。悲しそうな顔をしている。
『まぁ中川に隠してもしかたないかぁ〜どうせばれるし。そうだよ。結構応えてる』
反対側のホームを見ながら答える。
『そっかぁ〜まぁやっぱり次見つけるのがいいって!』
待っていた電車が来たので乗り込む。加藤も続く。
『だからしばらくはいいって』
苦笑しながら答える。…うん。やっぱりこれが俺の知っている加藤だ。愛想笑いする加藤はやっぱり好きじゃない。

それからしばらく、クラスの子の話や俺の彼女の話をした。加藤は聞くだけではなく、ちゃんとつっこむところはつっこんでいた。

話していて思った。こんなに価値観の同じ人にこれまでにあったことがあるだろうか、と。
俺の考え方は変わっている。それは自他共に認めている。人−特に子供は、人と違うことをすることに強い反発をする。だから、俺もそんなことをされたことはあった。
しかし、そんな俺を加藤は反発しない。言い方こそ違うが根本的な考え方は一緒だと思う。



この日から加藤はよく笑うようになった気がする。でも…愛想笑いだった。見ていて悲しかった。加藤に恋愛感情はない。だけど…加藤のことが大切な事には変わりない。もしかしたら、今まで待ち望んでいた”親友”とやらかもしれない。
そう思いと妙に納得が出来た。

そう、本当にこの時の感情は”友情”以上のものでも、それ以下のものでもなかった。それは変わることのないものだと思っていた。


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