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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第四章』-4

広いリビングに、幾間以外のみんなが集まっていた。
「あれ?幾間は?」
私は梓に聞いた。
「部屋でバタンキューだよ。」
梓は笑った。
みんなは円形にいくつか並べられたソファーに別れて座っていた。私と作山はそれぞれ空いているソファーに腰掛けた。
真ん中のテーブルにはお茶の入ったコップが三つある。
「で……?晩飯までの三時間、どうやって潰そうか?」
私はケータイを見た。今は午後四時。まぁ…あと三時間で夕ご飯ね。
「外に出る?」
浜崎優魅が言った。
「いや……時間的に微妙じゃないか?地理わからないし。」
秋冬がそう言った。作山はまた下品な笑い方をした。
「いひゃひゃ!じゃあどうするよ、四世弟?」
秋冬は何かを取り出した。
「まぁ……すごい旅行っぽいんだが……ここにトランプがある。」
…旅行だしね。…って…あのトランプ…どこかで……。
ってあぁっ!!!
「秋冬!!私のカバンから抜いたわね!?」
「やたら重いから中身見た。下らないもんばっか入ってたな。」
このやろ………。
「で、オレの提案。」
秋冬は話を戻した。
「なんのスリルもない旅行は楽しくないって、千里が言っていた。」
………?なんの脈略もないわよ?
「さぁ、楽しいゲームの始まりだ。一口五百円の真剣勝負。」
五百円……?あんたまさかっ……!!!
「ポーカーでもやろうか。」
この平和な旅行で賭け勝負する気!?





「ストレートフラッシュ。」
はい、また秋冬の勝ち〜〜。
「てめぇ一人勝ちじゃねぇか!!」
作山がトランプをテーブルに叩き付けた。
ルールは簡単。一番強い手を作った人が、一番弱い手を作った人に五百円もらう。うん、シンプル。
秋冬はさっきから勝ちまくってる。いや、負ける事もあるけど、明らかに勝ち数のほうが多い。
しかも、だいたい私からお金取ってるし。
私はこういうゲームに弱い。要領を掴めないの。秋冬はポーカーとか、まぁカードゲームやボードゲームにおいて、信じられないくらい強い。私は勝った事がない。ただの一度も。
「柚木さんから五百円、作山から千円、浜崎さんから五百円、姉貴から三千円、しめて五千円だな。」
ぬぅ………なんて弟だ。お前は神の寵愛でも受けてるのか?
「じゃ、金返すよ。」
秋冬は一人づつ、お金を返した。
「なんだ?せっかく勝ったのに………。」
作山は秋冬にそう言いながらも、お金を財布に戻している。
「欲しいのは金じゃなくて、楽しい時間なんだよ。結構楽しめたろ?このポーカーも。」
秋冬はケースにトランプをしまった。
そして、秋冬は立ち上がった。
「んじゃ、晩飯までの二時間……寝てすごそうかね。」
「あっ、じゃぁご飯の時間になったら…起こしに行くね。」
浜崎優魅がそう言うと、秋冬はニッコリ笑って、『お願いな』って言った。
「あぁ…四世弟!」
すでに部屋を出ようとしていた秋冬を、作山が引き止めた。秋冬は振り向く。
「なんだ?」
作山は、秋冬に向かって、山なりに何かを投げた。それは、五百円玉だった。
「またやろーな、ポーカー。」
作山はニカッと笑って、また下品な笑い声をあげた。
秋冬は微笑んで、五百円玉をポケットに入れて、部屋を出た。


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