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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第十章』-10

「な…秋冬君も何かあったの?」
オレは少し考えて、微笑んだ。
「交換条件だ」
「は?」
交渉は互いに都合良く進め、そして強気にだ。
「オレは今まで白鳥との間にあったことを全て話す。そのかわり、柚木さんも白鳥と何があったか話す。包み隠さず、全てね」
柚木さんは笑った。
「馬鹿じゃないの?千里君と関係ないじゃない」
「覚えてないのか?数ヶ月前、千里が白鳥と一悶着あったのを」
「……本当に頭がよく回るね。嫌らしく、小馬鹿にするように」
オレは苦笑した。
「だから私、キミのことあまり好きじゃないの」
柚木さんはオレの胸から手を離し、舌打ちをした。
「キミから話して」
「そうだね」
オレは話した。
白鳥が姉貴にいきなり告白したことや、千里に絡んだこと。それこそ全てを。
「最悪だね。意味わかんない。ていうか、なんで千里君は私にその…北川先輩のことを隠してたの?」
「あんたに変な心配させたくなかったんだよ。あいつなりの優しさだと思ってくれ」
柚木さんは空を見て、そしてオレを見た。
「昨日ね、私と千里が帰ってる途中、白鳥がいたの」
「それで?」
「白鳥が千里に言ったの。『あなたはあの先輩を忘れられるんですか?』って…」
オレは驚き、そして憤りを感じた。
まわりの人間ひっかき回して楽しいのかよ…!?
「それで…千里は…」
「千里はなんて言ったの?」
オレと柚木さんは声がしたほうを見た。
「きっ…北川せんぱ…」
「こんにちは秋冬君。そしてあなたは…」
北川先輩は微笑んだ。
「柚木梓ちゃんで、間違いないのよね?」
「…いつから聞いてたの?」
「秋冬君をフェンスに叩き付けたあたりから、かしら。まぁ正確には聞こえてきたんだけどね」
北川先輩の言い回しが、本当に怖い。柚木さんを敵視してるとしか思えない。
柚木さんは北川先輩を睨んでいる。
女って、怖いな。
「で、話の続き。千里は、私のことなんて言ってたの?」
ちょっと待て。この構図は…。
いや、逃げたいんだが。つーか、早くチャイム鳴ってくれねぇかな。
っていうか、今…これ…修羅場…!?





続く


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