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エス
【純愛 恋愛小説】

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エム-4

「大丈夫そうだね。じゃあ何時も通り、太陽、蛍光灯、全部の紫外線には眼球を晒さないように。新しいレンズ、3ヶ月分出しておくからね」

お大事に、と声がかけられ、俺は診察室を出た。

俺の目は紫外線に滅法弱いらしい。紫外線に当たるとそれこそ1日で失明してしまう恐れがあるらしい。
だから、小さい頃からずっとこの眼科で特殊なコンタクトレンズを貰って、目に入れている。

だから、俺の1日はコンタクトレンズを入れることから始まり、寝る前に電気を全部消してコンタクトレンズを洗浄液につける所までになる

受付で会計を済ませ、白い箱を貰う。右と左と別々に書かれたシールがそれぞれの箱に貼ってあり、鞄にそれをしまうと看護婦のお決まりの「お大事に」を背中に聞きながら、俺は眼科医を後にした。



翌日。
ハムエッグとトースト、オレンジジュースに温野菜を食べながらテレビのワイドショーを見る。
昨日までは有名グループを取り上げていたのに、今日はまったく違っていた。

天才少女現るだの、超能力だの。
よく分からないが、エスという人物の事を取り上げていた。

ぼんやりとそれを見つめていると母親がテレビのリモコンを持ち勝手にチャンネルを変えた。

「母さん、天気予報見たいのよー。今日布団干したいの」

お目当ての天気予報を見つけるとそれを食い入るように見つめている。

「雨降らないといいね」

妹がそう言い先に立ち上がって玄関へ向かう。母親も少し後れて天気予報に後ろ髪引かれながら玄関へ向かった。
俺はいつも通りに最後のオレンジジュースを飲み干し、その後を追った。
妹が去った後の玄関で母親に見送られる。

きっと母親は父親を起こした後に俺と妹の部屋に入って布団を出すんだろう。
部屋が散らかっている事に文句を言いながら。



登校するとすぐに百合が俺の教室にいつものように遊びに来た。

「真」

背後からぎゅーっと抱きしめてくる。
されるがままその抱擁を受け、百合が気が済んで離すまでじっとしていた。

「ねー、今日、お願いがあるんだ」

百合は甘えた口調で俺に首をかしげて言う。

「ん?」

「あのね。今日、真が通ってる眼科教えて欲しいの。実は私……目が悪くなっちゃって」

困った様子で百合が言う。確かに二人で歩いていても最近はよく見間違えていた。

「いいよ。今日行くんだろう?着いてってやるよ」

そっと百合の黒髪を手で梳くように触る。さらさらと指の間を髪の毛が流れる。

「ありがとう。じゃあ放課後ね」



放課後はすぐに来た、が。
俺は自由の身にはならなかった。


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