投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

紅館の花達の最初へ 紅館の花達 111 紅館の花達 113 紅館の花達の最後へ

紅館の花達〜金美花・返り咲き〜-4

ゴッツン!!

ここで、羞恥か怒りか、顔を真っ赤にしながら駆け付けたスーのゲンコツが炸裂。
さらに、頭で星が回っているゼロを投げつけて卑猥な雪の像を破壊。
その後、ゼロはスーによってズルズルと引きずられながらの退場とあいなった。
『毎度のことだけど懲りないわね、ゼロも。』
日常茶飯事となったゼロとスーのやりとりに、ふぅと溜め息を吐いた後、白竜館の階段を上って紅様の部屋に到着した。
早速ノックをしようと思ったが手が止まる。
扉の向こうからウェザとシャナの声が聴こえてきたのだ。
『紅様………』
『シャナ、愛してるよ。』
『私も、愛しています。 紅様………』
扉ごしにも伝わってくる甘々しいムード。
一瞬で私をフラフラにしてしまう恋人同士の甘い会話。
(まだ昼前なんですけど!!)
天下の大公爵が午前中から恋人とイチャイチャしていて良いのか?


『………まぁ、良いかしらね。
紅様はシャナさんと会って三ヶ月。 100年待った分を考えるとほんの少ししか経ってないものね。』
シャナとのお茶を諦めて自分の部屋に帰る途中にふと思ったことだった。
『きっと片時も放したくない。 そう思っているのよね。』
そして心の中で、羨ましいなぁ、と付け加えた。
もしキシンが、紅様がシャナを愛する位に自分に夢中になってくれたら。 ずっと私を放したくないと言ってくれたら。
はぁ…………と、大きな溜め息をつく。
寄り添う二人、お互いがお互いの肩を抱き、そっと囁く。
「愛してるよ。 アルネ。」
「私も、愛してるわ。 キシン。」
『………ウップ………』
駄目、想像したら吐気がしてしまった。
私とキシンにはあんな甘い会話は似合わないようだ。



少し歩いていると、食堂から美味しそうな匂いが漂ってきた。
(………ちょっと早いけどお昼にしようかしら。)
食堂に入ってカウンターに向かうと、ちょうどゼロとスーが一番乗りしていた。
『フィルさ〜〜〜ん! ぜろすぺしゃるつー下さ〜〜い♪』
『はいな〜♪ 任しとき♪』
年中元気一杯のゼロ。
そんな無尽蔵にあるゼロの体力を養う特盛御飯ゼロスペシャルシリーズ。
『はいな、ゼロスペシャル?、出来たで♪』
料理長フィルの手によってカウンターに置かれた大皿に盛られているのは………特大の鮭だった。
ビチビチ!
………生きてるし。 跳ねてるし。
『コラー! 逃げるなー!』
跳ねる鮭を掴み、ガブリと噛みつくゼロ。 一口目がすなわちトドメなのだ。
(どこら辺が料理なのかしらね………)
生きてる鮭を大皿に盛るというか乗せるだけ。
?から?まであるゼロスペシャルシリーズの中でも一番の手抜き料理であろう。
だといえ、鮭一匹丸々生で食べる人も居ない。
いろんな意味でゼロ専用なのだった。
スーはそんなゼロを放っておいて、自分のサラダとスープを受けとるとさっさと席についてしまった。
一噛み二噛みで鮭をおとなしくさせたゼロがそれに続く。


紅館の花達の最初へ 紅館の花達 111 紅館の花達 113 紅館の花達の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前