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【同性愛♂ 官能小説】

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-3

「一緒に食べようと思って…」
吐く息が白い。
「だからってここでずっと待ってたのかっ?ホラ入れよ」
葵の手を引っ張り上げるとヒヤッと氷を触ったような感触が伝わってきた。
「冷たッ。一体ここに何分居たんだ?」
葵はポケットから携帯を取り出して時刻を確かめる仕草をする。
「えっと…九時位に来たから…一時間かな」
「風邪引いたらどうすんだよっ。っと鍵…鍵」
「風邪引いたら加藤さん暖めてくれますか?」
「んな冗談言ってないで…」

鍵を開けて部屋へ入る。外並に寒い。
「ごめんな。すぐ暖まると思うから……葵?っ!」
急に葵が抱きついてきた。
床に押し倒され、あっと言う間に組み伏せられる。
そのまま両手で腕を押さえ付けられ、逃げられないようにされてしまう。
俺も抵抗すればいいのか、どうすればいいのか分からないでいた。
そこで思考が中断する。
耳たぶを甘噛みされた。
「……っ」
たったそれだけの事なのに体がビクンッと反応した。
葵は、そのまま首筋をなぞり始める。
キスしたかと思うと、噛み、そしてなめる。
言葉を発しようとすると葵の唇が口を塞ぐ。
こんな荒々しい愛撫なのに、不覚にも俺の体は熱くなっていた。
「……っ葵…んっ」
「…変なんです、僕。バイトでも、ずっと加藤さんの事考えてた。そうしたら、会いたくなった。…抱きたくなったんです」

『ごめんなさい…』そう言って俺の肩にもたれかかり、倒れ込んでしまった。
驚いて額を触ったが、風邪ではないようだった。
すーすー寝息をたてている。
「…歯形付けやがった」

そのまま葵をベッドに運んで寝かせ、俺はソファに寝転んだ。


『会いたくなった…。抱きたくなったんです』

ふいに、さっきの言葉を思い出した。顔が赤くなるのを感じる。
体が…まだ熱い。首筋には、さっきの事を思い出すには十分過ぎる程の証拠が残っている。
俺…葵が倒れなかったらどうしてたんだろう。
抵抗、したのかな。してない気がする。
ああっもう。何考えてんだ俺。
今日はベッドで寝ない方が良さそうだな…
だけどソファで寝ようにも掛ける団がない。
この季節に布団なしで寝るって事は死に値する。
仕様がない。
ベッドで寝るか…なるべく、葵と離れるようにしてベッドに入る。

でも、やっぱり隣に居るって事は結構大きいもので、葵の寝息や寝言、寝返りにまで反応してしまった。
結局、寝入ったのはかなり時間が経ってからだった。
目が覚めると隣に葵が居なかった。部屋にも居ない。
テーブルには、昨日買ったらしい材料で作られた鍋と、書き置きが置いてあった。
『ありがとうございます、お世話になりました。鍋作りました。食べてください。それじゃ』とだけ書いてあった。


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