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【同性愛♂ 官能小説】

猫の最初へ 猫 1 猫 3 猫の最後へ

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「川原は、お前には人を狂わすような色気があるって言ってたよ」
「女じゃないんですから…色気なんてありません」
「あと…猫っぽい」
その言葉に、葵は神妙な顔をした。
「なんですか、それ」
「うん…猫っぽい」
「そんなの、初めて言われました。どこら辺がです?」
そんなの良く分からなかった。
「…なんとなく?」
「なんとなく、猫に似てるんですか…?」
「うーん…」
自分でも何言ってんだかって感じだった。
葵は、少しの間の後言葉を返してきた。
「加藤さんは、柴犬に似てますね」にこっと笑ってそう言った。
別に動物に例えろって訳でもないんだけどな。
「あ、そう?ふーん。柴犬ねえ…」
「忠犬ハチ公って感じがします」
「ハチ公って柴犬だっけ?なんだかなあ…」
「柴犬可愛いじゃないですか。大好きですよ、僕」
必死にそうしゃべる葵がなんだか可笑しかった。
バイトの事や、昔の事とか色々話をしてる内にいつの間にか俺はうとうと寝入っていた。

―夢を見た。

夢の中で葵は黒猫になっていた。
何でか、とても恐かった。葵が恐かった。逃げようとしても体が動かない。だんだんと葵が近づいてくる。俺の足元まで来たとき葵は人間に姿を変えた。
「にゃあお」
葵が妖しく、艶やかに微笑む。俺はまだ動けないでいる。
だめだ。
来ないでくれ。
ああ…




―目が覚めると朝になっていた。
変な夢…見た気がする。

「ん゙んー…眠…ふあぁ…」
布団から体を起こし腕を伸ばした時、部屋では聞きなれない声がした。
「おはようございます」
どうやらすでに起きていたらしく、服を着てもう準備していた。

「本当は、朝飯作れれば良かったんですけど」
テーブルには、色々なコンビニ弁当が所狭しと置いてあった。
「すいません。料理さっぱりダメで…コンビニ弁当嫌いですか?」
「いや?好きだよ。俺コンビニないと死ぬタイプだもん。うわッ、これ食いたかったんだよねー。…うめえーっ。やっぱイレブンはいいね、うん」

テーブルの向こう側で葵がくすくす笑ってる。
何か変なこと言っただろうか。

「加藤さん、可愛いなあ。なんかいいですね。こういう朝って。」
「そう?」
「あ、ここ。ご飯粒付いてますよ」
そう言って葵は口元を指した。
「え?ここ?」
「違います。こっち…」
葵が近づいて来たかと思うと、ペロッとなめられた。
「うわああッ」
「?どうしたんですか?」
葵は至って平然としている。
「今…ペロッて…ペロッて、なめた…」
葵にとっては何でもない事なのか、寧ろたじろぐ俺を不思議がっている。
「?あ、それ一口ください」
「うわわわわっ」
葵の行動に過剰反応して、弁当を落としてしまった。うわああ…。
「ああっ。早く取らないと」
「も、もういい。俺やっとくから、お前はそろそろ大学行け。な?ほら、ジャケット持ってっ」
「え、でも…」
とまどう葵を押して無理矢理大学へ行かせた。
はあーっと大きなため息をついてソファへ座る。
疲れた…
赤くなってやんの…
バイトを終え帰宅すると、部屋の前に葵が座り込んでいた。
「バカ、寒いだろ!どうした?」
「僕の方がバイト早く上がったから…これ」
そう言うと、右手に持っているスーパーの袋を見せた。


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