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【同性愛♂ 官能小説】

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-1

「今日、泊めてくれませんか?」
寝かけていたところを起こされ、眠い目を擦りながら玄関を開けると、バイト先の後輩高瀬葵がたたずんでいた。

「…とりあえず入れよ」
突然の来訪者に驚きながらも、このままだと寒いだろうと思い、部屋に招き入れる。
「すいません。部屋、追い出されちゃって…行く宛ないんです。ダメですか?」
「や、構わないけど寝るとこ一つしかないんだよな。それとも一緒に寝るか?」
冗談で言ったつもりだったのに、葵からは「はい」と普通の返事が返ってきた。
「冗談だよ…」
「冗談だったんですか?でも、布団他にないんでしょう?じゃあ、一緒に寝ましょう」
「うん……?」
葵と話していると自分が変に思えてくる。
いや普通…だよな。俺がおかしいのかな。
まぁ、いいか。

「寝るか」
「はい」
しかし、驚いたな。葵とは、あんまり二人で話したことがなかった。家だってバイト先のみんなで飲みに行った時に一回来ただけだ。どんな奴かも知らない。でも別に嫌いじゃない。なんとなく、そう思う。
「加藤さん」
考え事の最中に背中越しに自分の名前を呼ばれ、ちょっとビックリして体と声が引きつる。
「な、何」
「初めてですよね。こうして二人で話すのって。なんか嬉しいです。話してみたいと思ってたから」
にこにこ笑いながら、そんな事を言う葵は掴み所がないひどく不思議な存在に思えた。
「なあ、追い出されたって…言ってたよな?それって同棲してたって事?」
「はい。同棲って言うよりは僕が居候してたって感じですけど」
「聞いちゃまずいかもしれないけどさ…なんで追い出されたんだ?」
葵の表情が少し曇った気がした。
「愛していないって言ったから」

え…?
「???」
「彼女に『私の事好き?』って聞かれので『好きだよ』って返したんです。そしたら『じゃあ、愛してる?』って聞いてきたので『愛してない』って答えたら、出てけと言われました」
「…ふうん」
余りにも自分には遠い話にピンとこず、それしか言葉が出なかった。

葵の話は、何となくこれ以上は聞いてはいけない気がして、そのまま押し黙っていた。
葵もそれ以上、その事については話さなかった。

しばらく沈黙が続き、もう寝てしまおうかと思った矢先、葵が沈黙を破った。
「加藤さん。もっとそっちに寄っていいですか?少し、寒い」
「え?ああ、うん。どうぞ」
「加藤さんって、優しいですよね。突然押しかけたのに、こうして泊めてくれる」
「いっつも女には『つまんない男』って振られるけどね。女ってのはお前みたいなタイプが好きなんだろうな」
きょとんと不思議そうな顔で葵が聞いてくる。
「僕みたいなって、どんなタイプですか?」
「まずその整った顔立ち。客にもお前目当ての奴結構いるもんな。それに優しいけど、どっか押しが強い。あと、さ。こうやって…っ」
「わあっ。くすぐった…あはは」
「ひょろそうなのに筋肉質じゃん?いい体してるよ」「なんで体のことまで知ってるんですか!」
「お前、川原と寝ただろ。あいつ口軽いからな。話聞かされたよ、何から何まで」
葵はバツの悪そうな顔をして「嫌だな…」と呟いた。


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