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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつてジュンかく語りき3-2

二人が来てくれたおかげか、あれからお客さんが夕方まで途切れなかった。キッチンの奥で、彼らが福の神だったことを話す声が聞こえる。
「純子ちゃん。もうクレープの生地が切れたから、上がっていいよ」
最後のテーブルを念入りに拭いていた私に、藤川さんが声をかけた。
「はい!お疲れさまです」
ちゃっちゃと帰り支度を済ませ、マスターと藤川さんのいるキッチンに顔を出す。
「お先に失礼します」
私がぺこりと頭を下げると、二人とも同じ笑顔にサラウンド放送で「お疲れさま」と答えた。
一卵性双生児は、慣れるまで本当に見分けがつかない。最近になってやっと、マスターの方が顔の輪郭がソフトであることに気がついた。藤川さんは案外とシャープな顔立ちなのだ。そこはやっぱり、甘いスイーツを作る生業と、快い苦味のコーヒーを淹れるそれとの差が出るのだろうか。
そんなことを考えながら外に出ると、むわっとした熱気が襲ってきた。ミンミンと忙しなく鳴く蝉が、余計に息苦しさを増す。
ぱくん、と携帯を開くとメールが一件入っていた。
『title お疲れさま
今夜は冷スパにしませんか。先に買い物に行っています。』
タキタだ。
受信時刻は十分前。今から追いかけたら、きっと間に合う。
私はなんだかワクワクして、子どもみたいに駆け出した。足が軽い。体が軽い。
早く、タキタに会いたい。


自動ドアが開く間さえもどかしく、私はスーパーに飛び込んだ。冷房の効き過ぎる屋内に、いささか地球に対する罪悪感なぞ感じながら、一目散に乾麺売り場へ走った。
彼は、いつもいつもパスタ選びに時間がかかるのだ。ソースの絡まり方がどうだこうだ言って。私はスグゆで上がるやつならなんでもイィんだが。
案の定、見慣れた後ろ姿を見つけ、嬉しくなって体当たりした。
「タキタぁっ!」
「!」
ずり落ちた眼鏡を正しながら、彼は苦笑した。声には出さなかったが、かなり驚いたらしい。
「もう少し月並みな登場の仕方はないんですか?」
「でっきませぇ〜ん」
私はあっかんべをしながら、両手にパスタを持つ彼に、この店で二番目に安いヤツを買うよう言った。


スーパーから出ると、空は茜色に染まっていた。
並んで歩くタキタの持つビニール袋が、汗をかいている。さっき買ったビール二本と酎ハイ一本だ。彼には珍しく、今夜は一杯呑みませんかと誘ってきた。私もタキタも、酒にはめっぽう弱いというのに。
そういえば、こうやってタキタと肩を並べて帰るのも久しぶりだ。ナツヤスミだというのに、あまり一緒に居なかった気がする。
「……」
私の頭に、今日のタキタとクミコの姿が浮かんできた。華奢な彼氏に、かーいらシィ彼女。背丈のバランスも申し分なかった。


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