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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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お誕生日、おめでとう-1

お誕生日、おめでとう。
夏の太陽がきらきら輝く時、
セミが必死に泣き叫ぶ時、
君の誕生日が来たと思う。

初めて会ったのは、大学のサークルでやったね。
1年の時は、変人やと思って近づかんかったわ。
2年の夏やったっけ?
君が「車を手に入れた」って言って、
色々ドライブに連れてってくれたんね。
一晩中走って博多ラーメン食べに行ったり、
夜の海を見に行ったりしたねぇ。
どんなに話しても話しても、話し足りんやったぁ。
「バイバイ」ってよう言えんかったもん。
今だって、「バイバイ」って言いたくないんよ。

大学3年の時、一緒に住むようになったやん。
私の小さいベッドでぎゅうぎゅうになって寝たね。
君は暑がりだから、
夏は夜中にごそごそ起き出して、
床に転がって寝とったよねぇ。
アレ、結構寂しいんよ。
起きたら隣におらんのんだもん。
今度はもっともっと大きいベッドを買って、
二人で寝ても暑くないようにせにゃならんね。

君は車が好きやったね。
あ、間違えた。
車の運転!
が、大好きやったね。
助手席に座らしたら、
いつもつまんなさそうにしとった。
今はね、
もっともっと運転させてあげればよかったなと思っとるんよ。
運転する人が違うけぇ、君の車も寂しそうにしとる。
私が乗ってエンジンかけたら、
いつも「アイツは何処に行ったん?」って言うんよ。

大学卒業って時に、
「わし、ヘリコプターに乗りたい。」って言ったやん。
突然やったけん、さしもの私もビックリしたわいね。
「乗り物好きもここまでいったか?」って。
でも、次の日、
ヘリコプターの学校のパンフレットを持って。
「小さい頃からの夢だったんよ。」って嬉しそうに言って。
ぽつりと「ボタンがいっぱいあるけん、
覚えるんが大変そうやなぁ。」って言った。
私は、「まだ乗れると決まったわけじゃないけぇ、
心配するこっちゃないよ。」といじめたけれど、
本当は、本当は君に空を飛んでほしかった。

大きな夢を持った君を、ずっとずっと応援したかったんよ。
私なんか、「なれるわけないやん。」って、初めっから諦めとった。
でも、君は。
「夢って、案外と近いところにあるもんやね。
ちょっと勇気を出して手を伸ばしたら、届きそうな感じや。」
君のおかげで、私も自分の夢を思い出せたのに。

ねぇ、君のその手は、夢に届いた?
あのとき、君はとても安らかな顔をしていた。
私は、生きていることがこんなにつらいのかと嘆いたのに。
白く消えていく君の身体を見て、
自分の肉と皮が憎かった。
君がいない世界で、
私が生きる意味はどこにある?
何度も、何度も空に問うた。
時間だけが空しく過ぎて、
答えなんて見つからなかったけれど。


私、手を伸ばし続けてる。
いつか自分の夢に届くように。
時々やめてしまおうかって思う時もあるけど、
君のあの言葉を思い出して、
ずっとずっと頑張ってるよ。


お誕生日、おめでとう。
君を縛るものは何も無い。
いま、きみは、どこをとんでいますか?


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