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空の下
【ファンタジー 恋愛小説】

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空の下3〜誰?-1

第3章〜誰?誰?誰なの?


『こいつはな…』
カインの綺麗な声がサラとエミリアの耳に届く。
「…………」
静かにカインの言葉を聞こうとするサラと少し慌てたエミリアがカインの次の言葉を待った。
『俺の恋人?』

何故か疑問符を語尾に付けて言うカインに怪訝な顔をし首を傾げるサラと、妙に顔を青ざめるエミリア。
『ちょ…ちょっと…カイン…私は…』
動揺と言うべきか…何と言うべきか…今にも壊れそうな…
『恋人じゃ…無いのですか…?』
『違う』
キッパリと言い放つカインをこの世の終わりでも見たかの様な顔でずっと見つめる。
サラから見ればカインが悪い様にしか見えない。
まぁ実際悪い様にしか誰が見ても見えないのだが…
そんな中二人の視線を全く気にする事も無くカインはエミリアに向かって言った。
『いや…タダの恋人じゃなくて、永遠の恋人』と…


『「『・・・・・・・』」』
痛いくらいの沈黙…何と言うか…傍らから見れば近寄りたくも無い空間が出来て居る。
その中心に居るカインは何もなかった様な平然とした姿で立って居るから驚きだ…。
『か…カイン…の…』
「『?』」
突然エミリアが口を開いたと思った刹那…

『バカァァァァッ!!』

絶叫。
それと同時に凄まじい風が、カインとサラを襲った。
怒った事で無意識に魔力を込めてしまったのだろう。
『サラっ!大丈夫か!?』
「きゃっ…は、はい…」
そのカインの言葉もエミリアの怒りを更に掻き立てる。

『サラ…サラ…サラって…カイン…本当は…私なんて…あははっ!』

エミリアは、また凄まじい風を起こし、それと同時に羽を広げ、空高くへと飛び立った。
『サラっ!逃げろっ!』

カインの叫びと同時に無数の光球が現れ…それは放たれた。

雷の様な轟音と凄まじい光と風。
2人に向けて一直線に進む視認できる黒の光線。
魔法を使える者なら誰でも分かる上級攻撃魔法。
ソレが二人に向かって放たれたのだ。

カインは駿足と言える早さでサラを抱え、空へと飛び立った。

直後、大地を揺らす爆発音と閃光が走り、2人の立って居た所は無くなって居た。
『私が…どれだけぇっ!』
60年と言う長い歳月の中カインはエミリアが此所まで理性を失ったのを見た事は無かった。
(くっ!)

『ははは…あははははっ!』
目にも止まらぬ…否、瞬間移動と言うべき早さでカインの前に来るエミリア。
『消えて…あなたなんか…消えてしまえぇ!』
怒りと言うよりも悲痛な叫び。
その叫びの直後エミリアの羽、一枚一枚がカインに向き、そのまま、伸びた。
『グッ!』
数千、数万にのぼる羽の剣山。
回避が間に合わなかったのか幾つかがカインに当たった。
『おちろぉ!』
怯んだ瞬間に溝落ちに強烈な一撃。
『ぐっぁ』

『とんでけぇ!』
その後の暴風。
抵抗できず、カインとサラはゆっくり落ちて行った。


『…バカぁ…』
エミリアはその場を後にした。


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