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空の下
【ファンタジー 恋愛小説】

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空の下-1

第一章〜荷物〜

ざわざわと緑の草が揺れている。
「ふぅ〜…」
草の上を溜め息を吐きながら、男がノロノロと歩いている。
背中には大きな荷物を背負っていて、年は二十前半というところだろう。
ボサッとした黒髪の長身の男、普通に見ればカッコいい分類に入るのだろう。
「だっりぃ〜休みてぇあぁコレ重い〜」
まぁこの性格じゃ無かったらだろうが…
荷物が重いと言っているが、腰には身の丈もありそうな大剣があるこっちの方が重そうだ。
男はざわざわと草が揺れる草原を抜け、木々が生茂る森の中に入って行った。
「あ〜日も暮れたし何も見えねぇ…今日はここで野宿だな」
森は日の光を遮ってしまうほど生茂っている。
男は乾いた枝を集め火を起こし眠ってしまった。
まぁ日の暮れた森で出るといったら獣や盗賊だろう。
男が寝入ってすぐガサガサと木の葉の擦れる音と、ギシギシと枝のしなる音がする。
動物の音では無い人間だろう。
そいつはスタッと地面に降り立った。
「…あ…寝てますよねたぶん…」
静かな森の中に高い声が響く。
男にしては声が高過ぎる。
恐らく女まだ二十歳にはなって居ないだろうか…。
うっすらと目を開けながら寝ていた男は女?を見ていた。
その時だった。
『アォォォォォ!!』ケルベロスのなき声がいつの間にか昇っていた月へと届くくらいの大きさで響いた。
「やっば!あ、うわぁきゃあっ!!」
男は女?の口を手で塞ぎ抱き寄せたのだ。
「ん゛ーん゛ー」
突然の事で驚いたのだろうかなり暴れている。
「喋るな…静にしてろばれる」
男は女?に静にそう言うと女?は静になった。
そのままの状態で朝になってしまった。
「あ〜もう大丈夫かなおいお前」
男に呼ばれて少しビクッとなった女?は、男のほうを向いた。
「お前盗もうとしただろ?」
さらにビクッとする。少し見ていて面白い。「えっと…その…」
そう言うと黙ってしまう。
どうやら女のようだ。男は(ふぅ〜)と、溜め息を吐くと口を開いた。
「まぁ盗って無いならいい。で、お前名前はなんて言うんだ?」
いきなり名前を聞かれたたせいかまたビクッっとなる見ていて本当に面白い。
「えっと…サラって言います…あなたは?」サラはそう問い返してきた。
「あ〜俺はカイン一応傭兵をやってる」
カインは、そう自己紹介し終えるとまた歩き出した。
なぜか後ろからサラが付いて来る。
「何かよう?」
カインはそう聞いた。「あの…私も連れて行ってくれませんか?」「はぁ?」
これにはカインも驚いた。
初対面の女にいきなり言われたら誰でも驚くとは思うが。
「なんで?」
「あの…両親が昔死んで、今は一人で森のなかで暮らして居るんです。もぅ1人は嫌なんですお願いします!
私も連れて行ってください!!」
だんだんと声が大きくなっている。それほど必死なのだろう。
「もう泥棒は嫌なんです。お願いします!」最近カインも1人旅に飽きてきた所だ。
ちょうどいいと思い、了承する事にした。
「いいよ、別に」
そう言うとまた歩き出す。
サラはうれしそうな顔をしながらこう言った「まって下さい!カインさ〜ん!」

空の下でふたりの旅は始まった。


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