性教育-6
「どう……だったかな」
武司は身を起こすと、茉由に話しかけた。
「――ええと、なんか凄かった」
どう表現してよいか、全く浮かばなかった茉由は「凄い」としか言えなかった。
「あの、男の人ってエッチの時……その、赤ちゃんの素(もと)、出すんでしょ?」
二人に向かって訊く茉由。
「うん、そうよ。武司――パパも今出したのよ、精子。ね?」
理恵が答えると、武司が「うん」と頷く。
「へえ……」
茉由は再び乗り出して二人の身体を見下ろす。結合はまだ解かれていない。
「赤ちゃんの素……精子、見てみる?」
母親が訊くと、
「うん、見たい」
頷く茉由。
武司は理恵から身体を離し、互いの性器の結合を解く。
自身の精液と、理恵の愛液で塗れた陰茎がヌルリと顔を出した。ありったけの精を放出した直後のそれは、ダラリと頭(こうべ)を垂れている。
理恵の秘部は、膣口が一瞬ポッカリと口を大きく広げたが、すぐに収縮した。
「今、この奥にパパの出した精子があるのよ」
言いながら理恵は、二本の指で小陰唇を左右に広げた。それに従い膣口も広がる。内側のサーモンピンクの肉ヒダが、ヒクヒクと蠢いていた。
すぐに中から白濁した粘液が、ゴボリと溢れてくる。ベッドのシーツを汚さないよう、武司はティッシュ数枚を抜いて彼女の股間の下に敷いた。
「うわあ……これが精子? 赤ちゃんの素なの?」
初めて目にする、男性特有の体液に、茉由は一種の感動を覚えていた。
「そうよ」
そう言うと、母親は指を自身の膣口に入れ、夫が放出した精の残滓(ざんし)を掻き出した。次々と溢れてくる白濁液。
「……触ってみても、いい?」
理恵と武司両方に向かって訊く茉由。
「うん、いいよ。いいよね?」
武司が妻にも確認を取るように答える。彼女は「うん、もちろん」と頷いた。
茉由はそろそろと、母親の股間に手を伸ばす。
パックリと口を広げている膣口が目に入った。
(ここって、赤ちゃんが出てくる穴だよね。こんなに小さいのに……)
そこが出産時に大きく広がることが、にわかには信じられなかった。
(わたしも、ここから産まれたんだ)
茉由は感慨に耽ながら、そこから滴る白く濁った液体を、指先ですくい取った。
(温(あった)かい……)
放出されてすぐ膣内に滞留していた液体は、ほんのりと温もりを湛えていた。
「へえ……」
感触を確かめるように、指先で粘液を弄(もてあそ)ぶ茉由。
「どんな感じ?」
側で胡座をかいている武司が興味深そうに尋ねる。上半身を起こした理恵も、彼にもたれかかるようしながら、娘の反応に注目した。
「ネバネバしてる。それに――」
茉由は答えると、指を鼻に近づけ、クンクンと匂いを嗅ぐ。
「――ヘンな匂い」
そう言いながらも、彼女は精液の生臭さを嫌悪している風ではなかった。
「あ、そうだ……」
指先のネバネバをティッシュで拭うと、茉由は両親に向かって訊く。
「これ、精子って、赤ちゃんの素でしょ?」
「そうよ」
母親が答える。
「それじゃあ、これをお腹の中で出したってことは、ママに赤ちゃんが出来るの?」
真剣な面持ちで、茉由は夫婦に尋ねた。二人は思わず互いに顔を向ける。
「うーん、必ず出来るわけじゃないのよ? 子供は神さまから授かるものだから」
「ふうん、そうなんだ……」
理恵の答えに納得する茉由。彼女の目は、母親の下腹部に注がれている。
娘の視線を感じた理恵は、
「でも、ひょっとしたら今のエッチで、お腹の中に茉由の弟か妹が出来たかもしれないわよ?」
と、自分の下腹部に両手を添えて軽くさする。
「しばらくして少し赤ちゃんが大きくなってからじゃないと、分からないけどね」
「――うん」
「茉由は兄弟、欲しいと思う?」
武司が訊くと、彼女はしばらく「うーん」と考えた末、「妹が欲しい、かな」と答えた。