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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-4

「いいえ、まだそんな年じゃありませんから」
私は制服のすそを引っ張り、スカートのひだを直します。
朝までこの男に抱かれると思うと、じっとしていられない気持ちになります。逃げたいのに、なにもできる事がありませんでした。
ある議員に処女を奪われてから、これで六人目になります。
その思い出はべったりと心に張り付いて、ジョイに触られても取れることはありませんでした。
世間ではお嬢様と呼ばれていても、これではただの娼婦と変わりありません。
カリスからは、「目をつぶって、ジョイがいるのだと思って奉仕しなさい。それでいいのよ」と言われます。
ジョイも、無理やり抱かされた男ではありましたが、それはそれで格好のいい若者ではありました。
でも、体が反応するからといって、私の好みなわけではありません。
私を好きだというなら気持ちももう少し変わっていったかもしれませんが、彼は女神カリスに言われるまま、私をおもちゃに変えることが楽しみなのです。
卿は横にどっかりと座り、いっきに酒を流し込みました。
もういちど注ぎ足すと、「飲め」
「いいです。飲めないんです」
「そうか。それは残念だ」 卿は私の脇に手を滑り込ませ、胸をこすりました。そして自分の方へ引き寄せます。
試すように軽くキスをして、私の表情を見ました。
ひざに手を置いたまま耐えました。私は兄が得た金か権力の対価なのです。
私のセックス映像を見て、その興奮を一気にぶつけてはこないのにはほっとします。
「一度しか言わん。私の申し出には従う方がいい」
≪まずい≫ これは、兄と同じです。物腰は柔らかくても、強い意志を持っています。
しかし卿は力を抜いて、「まあ、初めてなんだ、ゆっくりいこう」自分で酒を飲み干すと、覆いかぶさってきて、キスをします。
無理やり口を開かされ、酒が流れ込んできました。
思わず飲み込み、むせてしまいました。  喉が焼けます。
「いい飲みっぷりだ」卿が笑い、ブレザの中に手を入れてきました。これにもじっと耐えるしかありません。
「君の一番になりたかったよ。知っていれば何としてもつれてきたのに。怖がり、嫌がる姿がとても見たかったよ」
どう答えていいかわかりません。
「どうだね、学校は楽しいかね」関係もなく、どうでもいいことを聞いてきます。
「まあ」適当に受け答えをしました。

―――『まあ』  違います、『まったく』です。
学友には『お嬢様』とあだ名され、少し距離をおかれると、私もそんなに明るい方ではありません、こっちも引いてしまいます。すると『やっぱりお嬢様はお高く留まっていらっしゃる』と陰で言うのが聞こえました。
そうじゃないのよ、仲良くしようよ、それが言えません。それどころか勝手に親衛隊ができました。
「お嬢に気安く話しかけんじゃねえ」汚くののしって蹴散らす同級生が二人。歩く時も、勝手にまんなかに入れられました。
この二人が、「お嬢様に、何かみつげよ」と、陰で金品をせびっているのも知ってはいましたが、私も担ぎ上げられているだけで、そこから降りる力も持っていません。
でも、私がさせているかのように、みんなは見ます。
勉強もそうでした。上品なお嬢様は成績優秀な秀才だという妙な神話がありました。
気ままで活発なお嬢さまなら、赤点ギリギリだと相場が決まっています。
でも私は中程です。でもそんなのを誰も庶民的なお嬢様だとは思いません。
友達のできる訳がありませんでした。―――


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