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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-2

≪魔の力を使ったごまかしだ≫
あたしは近付いていきますが、そこで足を止めました。アッチに動くなと言われていたのです。
そして、あたしの生存本能がやつを撃つのを止めました。≪あたしにはかなわない≫
一発、二発では手負いにするだけです。そのあいだに反撃され、やられては話になりません。
「レナ」
そこを後ろから頭を叩かれました。
「レナ、何をしてるの」ナミです。
「ちょっと待って、あたし財布忘れたかも」かばんの中を探るふりをします。≪もう少し様子を見させて≫ 横目でイブを見ていると、つりそうです。
ナミにはバレなかったようです。この人は魔とわかると、とりあえず殺そうとします。
今殺されてしまうと、イブにかけられた呪いはこのままになってしまうかもしれません。
「私を待たせてるってわかってるの? あなたはお金も力もないんだから、頭を使いなさい」
「もうちょっと、財布はあったんだけど、中身があるかなぁ」
チャックを開けながらもういちどイブを見ます。もう、足を引きずり気味に歩き出していました。
その視線の前にナミが立ちはだかります。「行くわよ、お金なんか無い方がいいわ。落としたらとか、代金が足りるかとか心配しなくていい。荷物持ちに集中できるわ」ナミが引っ張って歩き出しました。
≪力がないなら、せめて様子を見て、もっと弱点を見定めるしかない≫ はがゆくても、これだけはどうしようもありません。≪あたしにもっと力さえあれば≫


家へ帰ってからも、ちょっと悩みました。
≪イブはあんなことを繰り返してる≫ 体の結構な部分の感覚を魔に与えてしまっています。
切り売りを怖がるのは、最初だけです。すぐになれていきます。次に感じるのは、売るものがなくなった時の絶望でしょう。
魔の自作自演なんだと、言ってあげようとしても、あの子はあたしを嫌がって、聞こうともしません。
でも、ここまで重症だとは思っていませんでした。
「何を落ち込んでる」ナミが近づいて来ます。「好きな子でもできたの」ほんと、デリカシーのない女です。
「あら、恋話?」アッチまで寄ってきました。 「最近帰りが遅いと思ったら、そうだったの。あなたには女の子と、もっともっといろんな楽しみ方がある事を教えてあげますよ。それとも他の心配事ですか?」優しく聞いてくれます。
「そんなのじゃない」あたしはわけあって男性とのあれができないのです。あれにアレが詰まっているのです。
「なんだ、失恋か」鈍感女はまだそんなことを言っています。
「そんなのじゃない」
≪まずい、じゃあ、なんだと言えばいい≫ イブのことはナミに知られないことが第一です。
「言いたくないことを聞いたりしませんよ、言えるようになったら教えてね」アッチは優しく言ってくれました。
≪アッチに言われたように、言えるようになるんだろうか≫ 自分の気持ちを考えました。
アッチなら『魔を殺さないで』と言ったらなんとかしてくれるかもしれません。でも確証が持てなかったのです。
≪もっと探るんだ。弱点をみつけろ≫
間違っていたらイブは元に戻れません、そうでなかったら死ぬかもしれません。失うものの大きさに震えました。
「女同士だって愛し合えるんだよ。アッチにそのやり方を教えてもらえば?」ナミはまだ言います。
「そう、じゃ、女友達のことを考えてみる」あたしは虚空を眺めました。
これは聖女レナという世界の中で、多次元世界のように起こる、アダルトな夢の深みを綴ったものです。


レナ・テイル 9
イブ 茨人形


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