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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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搭乗口のHUG-2


 しのちゃんと手をつないださおりさんが言った。

「はい……あ、上まで送ります」

 BPRの内側に設置されているデジタルカウンターには「68/70」と表示されている。今日の宮古島便のチェックインしたPAXは70名(うちの737-800は170人乗りだからそりゃ営業担当の胃も琴美と同じように痛いだろう)、まだBPRを通過していないPAXはさおりさんとしのちゃんの二人だけだ。
 やっぱり緊張した面持ちのしのちゃんがBPRを通る。三人でゲートから出て、無言のままタラップを上る。737-800がエアコンの熱交換器から漏れる金属音を鳴らして二人の搭乗を待っている。搭乗口、L1ドアの内側には柚希ちゃんが立っていて、俺たち三人の姿が見えると合点がいったように、ああ、という表情になって微笑んだ。
 搭乗口の前、機内独特の匂いが流れ出しているあたりまで来て、さおりさんとしのちゃんが立ち止まる。

「お兄ちゃん、ほんとうにいろいろ、お世話してくれてありがとう。お休みが取れたらいつでも身体ひとつで宮古島に遊びに来てね。そして……」

 いったん言葉を区切り、俺としのちゃんを見て、少し震えた声で続ける。

「しののことは心配しないで。お仕事、頑張ってください。私も頑張る」

 うなずいた。そして、しのちゃんに声をかけようとしてしのちゃんの顔を見た俺は、衝動的にしゃがみ込んでいた。しのちゃんの小さな肩に両手を置く。俺の顔の真正面、しのちゃんのあの幼くて芳しくて愛おしい吐息がかかるくらいの距離に、しのちゃんの顔が、今にも泣き出しそうなのを必死でこらえているしのちゃんの顔がある。これから乗る飛行機がこわい、という表情では、ない。俺もたぶん、しのちゃんと同じような表情になっている。

「しのちゃん……」

 俺の声も震えそうになる。必死で自分を鼓舞する。

「気をつけて、ね。俺、すぐにしのちゃんを追いかけていくから。だから……待ってて、くれるよね」

 唇をぎゅ、と強く閉じたしのちゃんが無言でうなずく。
 抱きしめたい。キスしたい。大切な「こいびと」との、しばらくの間の別れの瞬間が訪れている。しのちゃんを抱きしめて、ちょっとでも安心させてあげたい。しのちゃんの温かなぬくもりをもう一度抱きしめたい。
 けど。今俺は職務中でもある。だけど。しのちゃん達以外のPAXはもう少し後ろの座席中心にアサインしたからそっちからL1の外は見えない。支店長は真下の運転席だし、ぽんぽんが痛い琴美はもうしばらくは戻ってこないだろう。柚希ちゃんは……柚希ちゃんには、多少事情を話してあるから、きっと理解してくれるだろう、俺の大切な「友人」だって言う意味で。
 俺はしのちゃんの肩を抱き寄せ、その肩に自分の顔を乗せた。肩から背中へ両手を下ろし、キッズリュックの縁、肩甲骨のあたりに両方の手のひらを添えてしのちゃんをハグした。しのちゃんが小さく、くすん、とぐずる。

「泣かないで、すぐにまた会えるよ。宮古島の学校でいっぱいお友達作って、ママのおいしいご飯いっぱい食べて、元気で過ごしていてね」

「うん……お兄ちゃん……」


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