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パンドラの箱
【ファンタジー 官能小説】

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パンドラの箱-6

2 パンドーラ

私が街で買い物をしていると、一人の青年が声をかけてきました。
≪見た目だけの男≫
普通ならそんなものは間に合っていました。いくらでも尻尾を振ってやってくるのです。
無視して通り過ぎようとした時、その青年の言葉は少し違いました。
「魔女になりたくないか」
そんなのは初めてでした。
「どんな魔女にしてくれるの」この男がウイッチなのか、見定めようとしました。
「これは秘密だよ。この後、集会があるんだ」
「へえ、何も言わないのが『秘密』ってことじゃないの」
青年はちょっとたじろぎます。「君だからだよ」
変なことになってきました。二重に魔女になったらどうなるのでしょう。
≪ちょっとおもしろそう≫ 青年の腕にもたれかかるように、「私の何が違うというの、綺麗だから?  それとも悪魔みたいに見える?」
「そうだね、悪魔みたいに綺麗だ」
「あ、そう」 ≪それだけの男だ≫
「君には無理なようだ」
≪もう魔女なのに≫ これは言えません。不用意に知らない者に言えることではありません。
「どうしてそんなことが言えるの」 気にさわることを言う、この青年がウイッチだとは思えませんでした。
「こんな所で簡単に話せることじゃないんだ」 それから川べりを橋の下へ入って座ると、話をしました。彼はシンだと名乗りました
この馬鹿の言うことを全部論破してやるのも面白いかもしれません。
でも、魔女や魔法については話しません。きっと受け売りなのでしょう。言い負かしてやろうと話を持って行っても、するりとすり抜けてしまいます。
腹が立って離れられなくなりました。
「それなら、見せてやる。魔女になるための入会の儀式があるんだ。行けば君の間違っているところがはっきりする」
彼は急に 肩を抱いてくると、軽いキスをします。「君に見せてあげたいんだ」
びっくりして、よけることもできませんでした。
この青年は、私が学校でキスどころか手も握らせないなんてことを知りません。
女慣れした態度でエスコートしようとしました。
≪まあ、これもいいか≫ 学校では親衛隊がガードするので、こんな機会はありませんでした。
じいちゃんには何でも報告するように言われていますが、これは言ったとたん禁止されることだと直感しました。
でも、年寄りは何でも怖がります。少しは冒険しないと新しい道は開けません。
シンに連れられて、町外れの廃工場に入って行き、地下室へ降りました。
そこには燭台の上で大きなろうそくが燃え、中央に小さな祭壇が 明かりの中に浮き立っていました。
その上に皿と壺が置いてあります。皿の上には三角形の黒いクッキーのようなものが乗っています。
「ようこそ俺たちの集会へ」シンが言います。 「先に連絡しておいたんだ。これで君は魔女に変わるんだ」
「へえ、そうなんだ」様子を見ます。「それで司祭はどこにいるの」
「えっ」声が止まります。
≪この人はそんなことも知らずにやってるの?≫ ばかばかしくなって帰ろうとしました。
陰から二人の冴えない男が、出てきます。出口の前に並びました。
細長いもやしみたいなのと太短いの。まるで高等部の学校仲間みたいな感じです。
「こんなごっこ遊びに付き合ってられないわ」
「司祭様は急にはいらっしゃらない、これは君のために開いた、俺たちの小さな集まりなんだ」
「あなた達で遊んでなさい」
「ここで帰ったら本当の事が見えなくなるぞ」シンが立ちはだかります。
「本当って何」
「この世には本当に魔女がいる。そして毎夜、人にイタズラをしているんだ。可愛いのからすごいやつまで。それが君にも簡単にできるようになる」
「あそう」ちょっと面白くなりました。「あなたの言う魔女って、まるでスクブスみたいじゃない」
「スクープみたいってなんだ」太っちょはそんなことも知らないようです。
「眠っている男に忍び寄り、交わる女。悪魔の使いよ。それともインクブスかしら」
「そいつはいいな、こんな可愛いスクープスなら何度でも襲われてやるぜ」喜んでいます。
「馬鹿じゃない、悪魔よ」


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