裸・少・女・美-1
「は、はぁ!?」
少女たちは絶句し、下着姿のまま、たちまち凍りついた。暖房の効いた室内ながら、酷寒の猛吹雪が吹き寄せたかのようだった。
紗雪も今までこの和天高校に特待生として入学したい一心で、ともかくも度重なる辱めに懸命に耐えてきた。下着姿で男の前に立たされるなどそれ自体が到底まともなものにはほど遠かったが、あまつさえ入試の場で中学生に対して裸になれとは、もはや正気の沙汰とは思えない。セクハラとかそういうレベルの話でもない。
今更ながら、紗雪は思い至った。
要するに、今までのことは、全部罠だった。成績優秀ながら家が貧しくて思うように進学できない中学生で特に容姿端麗な女の子を見つけて、特待生という好条件をちらつかせて誘い寄せる。そして風紀検査の名目で下着姿にさせ、逃げるのを困難にしてから、あとは蟻地獄のようにずるずると恥辱の底へと引きずり込んでいく。
すべては、無垢な女子中学生たちをこのドスケベ変態ロリコン理事長の、いわば生贄にするためということだ。
あまりに恵まれすぎともいえる特待生の条件を示された時に、紗雪も疑念を感じないではなかった。だが、これほど恐ろしくも卑劣な罠が待っているとは思いもよらずに、受験に臨んだ。
私って、ほんとバカ……。
そんな自分の浅はかさに今さら気づいても、もう遅かった。
紗雪は自分がそこまでの美少女だとは未だに思えていないが、いずれにせよ理事長の好みに合っているというのであればどうしようもない。
「さあ、身に着けているものはすべて取りなさい」
唖然となったままの少女たちに、三田村は迫ってきた。謹厳な表情はまったく崩していないのが、かえって不気味ですらある。
「この条件さえ満たせば君たちの合格と、特待生としての資格は保証するのだよ」
だがこの期に及んでは、合否も何もあったものではない。
「裸になるなんて、ありえません! こんな入学試験があるんですか!」
紗雪も黙ってはいられずに何か言おうと思った矢先に、隣の理真が激昂して抗議した。
「ほう、この期に及んで、受験を放棄しようというのかね?」
三田村は落ち着き払った表情で、あしらうように言う。
紗雪も理真に賛同して口を開きかけたが、そんな折に信じられない光景が目に入ってきた。
奈々美がブラジャーに手をかけ、外したのだ。15歳の少女としてはかなり発達した乳房が現れる。
呆気に取られた他の2人をよそに、奈々美はパンティも下ろし、足先から抜いた。すっかり生え揃った茂みと、弾むように豊かな臀部が露わになる。彼女は三田村に言われた通り、本当に全裸になったのだ。
「私は、なんとしてもこの学校に入ります」
そうきっぱりと宣言すると、顔を赤らめつつも他の2人の前に出て、三田村に向き合う奈々美。
「よろしい。2人も同じようにしてくれるかな」
三田村は満悦の表情を浮かべて頷くと、紗雪と理真にも促した。
「ここまで来たんだもん。あんたたちもこうするしかないでしょ?」
先に脱いだ奈々美もまた振り向くと、焚きつけるように言ってくる。
「ふっ、情けない。こんなところで逃げ出す気?」
紗雪はいまだ躊躇していた。裸になるなんて絶対に嫌。こんな恥辱きわまりない場など、今すぐにでも離れたくてたまらない。とはいえ、この特待生推薦を放棄したとして、それからどうしたらいいのかを考えると途方に暮れてしまう。こんな恥辱を被ったから試験場を抜け出したなどとは、母親にも山竹先生にも恥ずかしくて言えそうもないのだ。
「もういいです、こんな無茶苦茶な試験! こんな学校、私は入りたくありません!」
そんな紗雪の横で、ついに理真は我慢ならず、憤りを露わにすると背を向けた。
「服を返してください。私、帰ります!」
辞退を決意した理真は、そうやって後ろの女性教師たちに詰め寄った。だが、脱いだ制服を入れた籠は部屋を見渡してもどこにもない。
「あの、服はどこですか?」
彼女は激しい剣幕で問い詰めたが、福部は冷ややかな調子で返す。
「みなさんの服は別室に保管してあります。ですが、特待生推薦まで受けながらそんな態度で試験をぶち壊そうとするのであれば、返すわけにはいきません」
「な、何を言うんですか?」
「受験を放棄するつもりなら、その恰好で帰ることです。それがペナルティです」
理真は愕然となる。このまま男の前で裸になるのも酷いが、かといって女の子が下着だけの姿で外に出るなんて、そうそう出来るものではない。それでもこれから待ち受けることの恐ろしさを思うといっそこのまま飛び出してしまおうという気も頭をよぎったが、やはり躊躇われる。
「それから、推薦入試の場を荒立たせる不品行があったとして、あなたの中学にも、地域一帯の高校にも通報します。どこの高校にも行けなくなっても仕方ないでしょうね」
土屋からも引導を渡すように言われた。どっちが不品行かと言いたくもなるし、土屋の言うことが本当かどうかはわからないが、理真はいよいよ進退窮まった。ただ屈辱とやりきれない思いに、身をわななかせるだけだ。
そんな彼女の両肩を土屋が持って、半ば強制的に三田村の方に向き直らせた。
「ここまで来たんだから、あきらめて最後まで試験を受けなさいね」
力なくうなだれる理真。その有様を見ていた紗雪も、もはやここから逃れるすべはないことを思い知らされて絶望的な気分になる。
「いいから、そのまま脱がせなさい」
三田村が命じると、ほぼ同時に土屋が理真のブラジャーを剥ぎ取った。間髪を入れずにパンティを一気にずり下ろした。
やわらかな恥毛の草むらと、白桃のように瑞々しい乳房が剥き出しになった。