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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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新年の「かきぞめ」-3


 そう言ってにこ、と笑うさおりさんの、こちらも風呂上がりの完全すっぴんの笑顔。輪郭がくっきりとした唇、やや縦長の二本の前歯。その口元から漏れるさおりさんの息臭に勃起しかける。落ち着け俺。
 グラウンドコートを脱ぐとしのちゃんがそれを受け取ってハンガーにかけ、壁のフックにかけようとする。背伸びしても手がフックに届かず、んしょ、んしょ、と言いながらハンガーを掴んだ右手を中空に放り投げるように振り回すしのちゃんがたまらなくかわいい。見かねて俺が手助けすると、ひとりでやろうと思ったのにぃ、とむくれたしのちゃんがさらにかわいい。

「お兄ちゃん、とりあえず夕ご飯たべましょ。あとであんまり遅い時間にならないうちに年越しそばも作るわね」

「夜はいっつも遅いから、さおりさんたちが起きているならつきあいますよ」

 つきあってるのあたしだもーん。椅子にかけたしのちゃんがさっきの延長でむくれた顔のままさおりさんに言う。そのつきあうじゃないわよ、と爆笑したさおりさんの子供っぽい笑顔。やっぱり親子だな、笑うとしのちゃんとさおりさんは本当によく似ている。
 小皿に取り分けたエビフライにさおりさんがタルタルソースをかけると、しのちゃんの機嫌はいっぺんによくなり、

「お兄ちゃんにはあたしがかけてあげるの!」

と言ってさおりさんからスプーンと小さなボウルを奪い取る。大きめに揚げられたエビフライにタルタルソースをかける、というか塗っていくしのちゃんを見て、さおりさんがまた笑う。
 しのちゃんのコップにQooのオレンジ、さおりさんと俺のグラスにエビスを注ぎ、三人で乾杯する。こきゅ、こきゅ、とQooを半分くらい飲んだしのちゃんが、エビスを飲み干した俺のグラスに金色の缶からこぽこぽ、と新しいエビスを注いでくれる。

「甲斐甲斐しいわねえしの。私にはここまではしてくれないけどなあ」

 右手に箸を持ったさおりさんがからかうように言う。グラスにふんわりとした泡を作ったしのちゃんも得意満面で俺とさおりさんの顔を交互に見る。

「そうそう、このタルタルソース、しのが自分で卵茹でて刻んで混ぜたの。味付けだけちょこっと私が手伝ったけど、ほとんどしのがひとりで作ったんだよ」

 話の途中からもうしのちゃんの鼻がひくひくと自慢気に動いている。タルタルソースがふんだんに塗られたエビフライを箸でつまんで口に入れると、さくっ、とした衣と弾力のあるエビの歯ごたえ、そしてちょっと白身が大きめだけどマヨネーズとの混ざり具合がちょうどいいタルタルソースのひんやりとした舌触りを感じる。おいひい。俺がエビフライを咀嚼しながらそう言うと、しのちゃんが鼻をひくつかせながら

「いっぱいおかわりしていいよ」

と言った。さおりさんがこらえきれずに吹き出す。昨夜の意外な成り行きとうってかわった、平穏な大晦日の食卓だ。
 エビフライとしのちゃんの大好物の塩味の唐揚げ、そしてほうれん草のおひたしとじゃがいもやにんじんの入った味噌汁でご飯が進む。

「お兄ちゃん、あとで年越しそばもあるのよ。エビ天で」

「わ、エビづくしじゃないですか」 

「大晦日だもん、それもしのの大事な人をお迎えして、の」

 お兄ちゃんはゆっくりしてて。お皿を洗おうとした俺を制したさおりさんの言葉に甘えて、しのちゃんと並んでテレビの前にしゃがむ。画面ではちょうど田中がタイキックを食らっていて、浜ちゃんがひっくり返って笑うのに合わせてしのちゃんもきゃははー、と笑い声を上げる。ガキ使、誰かと見るのって本当に久しぶりだな。
 キッチンからお皿を洗う音が小さく聞こえるのを確かめて、俺は右隣で、ぺたん、と女の子座りしているしのちゃんの肩をそっと抱いた。しのちゃんが頭を俺の胸にもたれかけてくる。この小さな身体の小学2年生の女児が俺の「こいびと」になってくれてから半年とちょっと。ものすごく濃密で充実した半年間だったな。俺は「こいびと」ができたことによって、精神的な余裕と少しだけだけど「大人」というか「男」としての成長を得られたんじゃないか、と思う。もちろんしのちゃんというかけがえのない幸せを得られたのが最も大きいのだけれど。いい意味で、想像もしていない自分になっている。まあ、それをしみじみと噛みしめるには画面のヘイポーがちょっと場違いなんだけど。
 しのちゃんが、俺の足のひざ小僧を包むように左手を置く。その小さい手のひら、細い指に俺の左手を重ねる。胸元と右手と左手からダイレクトに、そして俺の身体全体がその右側からほんのりと受け止めている、8歳の「こいびと」のぬくもり。俺、人生でいちばんの大晦日を過ごしていると思う。いや、今年はもう間違いなく、「俺史」の中で最もページを割いて記述されるべき、試験にかならず出る最重要項目となった一年だ。
 ふと、左側から視線を感じる。はっ、と首を向けると、いつの間にかお皿を洗い終えたさおりさんが、テーブルに戻ってビールのグラスを傍らに頬杖をついて俺たちを見ている。その視線は、あの日俺としのちゃんの交際を許してくれたときと同じように、やさしく慈愛と母性に満ちあふれていた。


 人数的にも笑かしのゲストはこのあたりで最後かな、くらいの時間になると、いくら冬休み中で夜更かしが親公認とはいえ、8歳児の瞼はどうしても重くなる。ましてやから揚げを四つにエビフライを二本もたいらげてお腹いっぱいになっているのだからなおさらだ。俺の胸にもたれたままのしのちゃんから、いつものあの、くー、すー、という寝息がこぼれている。
 寝ちゃいました。口の動きだけでそう伝えると、苦笑いしたさおりさんがテーブルを回ってしのちゃんの後ろでかがんだ。ぴしゃ、としのちゃんの肩の上の俺の右手を軽く叩く。冗談なのはわかっているので、俺もおおげさに顔をしかめながらさおりさんを振り向く。その目線の真正面に、さおりさんが着ているルームウェアの胸元が来る。


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