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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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勃起制御-1


 空港ターミナルの最上階へ階段で上る。展望デッキへ出るためのドアの脇にコンビニのそれに似たイートインスペースがある。お隣さんの会社の便が出発しうちの便が到着する前の間の一時間位は、空港内には職員くらいしか人がいない。この展望デッキは原則開港時間内は誰でも自由に出入りできるようになっているので、たまに隣町の保育園の園児や暇な高齢者が見物なり昼寝なりしにきたりはしてるけど、飛行機が駐機しているわけでもない時間帯にやってくるほどの物好きはいないので、このイートインスペースは寒い季節に俺が昼食を摂るための貸切スペースとなっていた。うちの会社の人たちも空港職員の人たちもたいがい自社スペース内で昼休みを過ごしているので、一人でぼんやりしたいタイプの俺にはもってこいの場所だ。
 ランチボックスと綾鷹をカウンターに置くと、イートインスペースの半自動ドアをスライドさせる音がして、

「あ、なんだ、あんたいたんだ」

と言う琴美の声がそれに続いた。ああ、おう、と曖昧な返事をした俺の背後を通って、右側の白いプラスチックの椅子に腰掛けてコンビニ袋をかしゃかしゃ鳴らしながらカウンターに置く。昼食を摂る時間は厳密に決まっていないのでそれぞれが業務の合間の都合の良い時間を昼休みにしているから、いままでも琴美とはタイミングが合うことはあんまりなかった。まあ、今日は550便も551便も「空気輸送」状態だから業務量も少ないんで琴美も手が空いてるんだろうな。営業はまた胃が痛くなってるんだろうけど。
 コンビニ袋からハム卵サンドイッチとFIREのラテを引っ張り出した琴美が、蓋を開けた俺のランチボックスを覗き込む。鼻先に琴美の頭がにょき、と顔を出し、俺の鼻腔が意図せず琴美の体臭と髪や頭皮の匂いを吸い込む。

「へえ、すごいじゃん自分で作ったのこれ?」

 ああ、おう、と曖昧な返事をまたする。竜田揚げはさおりさんが、それにかかっているちょっと味が濃い目の甘酢あんはしのちゃんのお手製だ。とうとう野菜ちぎりオンリーから脱却したしのちゃんが生まれて初めて火を使って ―さおりさんの手取り足取りという監修の元― 作ってくれた甘酢あんのかかった竜田揚げを俺に渡したときのしのちゃんの顔は、なるほど得意気に鼻をふくらますとはこういうことか、と思ったほど典型的なドヤ顔だった。

「すごいね、こんなの作れるんだったら確かにあんた彼女いなくても問題ないわけだ」

 そう言ってサンドイッチの袋の開け口を引っ張りかけた琴美が、そうだ、と俺の方を向き直った。

「ね、ニュースニュース。柚希ちゃん彼氏と別れたんだって」

「へ?」

「や、こないだ柚希ちゃんとチーフさんと飲んだんだけどさ、柚希ちゃん高校の同級生だった人とずっと付き合ってたんだって。で、その人が沖縄本島の大学行ったから微妙な遠距離恋愛してたんだけど、就職して大阪へ行っちゃって、それでもまあなんとか続けてたんだけど、どうもその人が大阪で浮気してるっぽくて。で、なんやかんや追求したりしてたら別れようって話になった、って」

「それ、俺にしゃべっていいのか?個人情報だろ」

「個人情報っていうかはプライバシー情報じゃない?でね、あんたのこと言ったの。あいつ彼女いないんだよ、って。そしたら柚希ちゃん、あんたのこと『親切だし、いい人ですよね』だってさ。ほら、チャンスかもよ」

 いい人、かなあ。確かに親切にしてはいるけど匂いを嗅ぎたいっていう下心がベースだし、オナペットにしてるって聞いたら幻滅するんじゃねえかな。まあ、柚希ちゃん人柄はいいし顔もかわいいから、しのちゃんと出会う前はちょっと気になっていたのは確かだけど、彼氏いるって情報が障壁になってたし、今はしのちゃんがいるし。てか琴美も、あんま安易に「あいつ彼女いないんだよ」とか言うなよ事実と違うのに。まあでも8歳の彼女がいる、とは白状できないからしょうがないけど。

「どうなのよ、麻衣ちゃんよりは年も近いしさ、いいと思うよ」

 サンドイッチを頬張りながら喋る琴美の口元からマヨネーズの匂いが漂う。うまい返事が思いつかず、二個目の竜田揚げを口に入れる。うまい。味は濃い目だけど、俺の「こいびと」(とその母親)が作ってくれた甘酢あんかけ竜田揚げ。幸福な昼食の味だ。

「あんたに彼女できてくれたほうが、あたしも気楽なんだよねぇ」

 琴美がラテのボトルを傾けて二口くらい飲んでから言った。今度はミルク混じりのコーヒーの香りがふわ、と伝わる。

「なんで琴美が気楽になるんだよ」

 俺も綾鷹に口をつける。

「だってさ、あんたに彼女ができて、その子とやることやってくれればあたしがあんたのオナペットにされることもないじゃん」


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