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魔女の住む館
【ファンタジー 官能小説】

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魔女の住む館-5

5月7日

私は今日も意識を飛ばした。
執事長はフローラのもとにいた。 腕の中の恋人を見る。微笑み返してはきたが、その足はみにくく崩れている。服の中もどうなっているか、妙に膨らみ、ボタンがはちきれそうになっている。
「今、主人を殺してきた。君に病をうつしたやつを許せなかった」 フローラを抱きかかえ、「一緒に死のう」
「ごめんなさい」もうほとんど聞き取れない声だ。
「いいんだ、使用人が主人に逆らうことはできない。それは主人の責任だ」固く手を握る。
「そんなに苦しいならこれをあげよう」ベールが後ろに立つ。ふたりに丸薬を渡した。
「死んでからも一緒になれるんですよ」
「毒か」
「主人に汚されたとはいえ。女にたいした落ち度はありません。しかし。主人を殺したあなたは地獄へ行くしかない。
しかし、主人はまだ。虫の息で生きています。 
君の代わりに私が息の根を止めて。肩代わりしてあげてもいいのですよ。
私との取引だ。そうすれば、あなたたちは別々の地獄ではなく、一つになれる」
「お前は何だ」
「私ですか、あなたたちにとっては神にも似た存在です。ご心配なく悪魔ではありません」
「任せよう、永遠に二人を共にいさせてくれ」
「分かりました。それに答えましょう」
ベールという名の魔が、二人の心を奪い取っていった。
やつはそのあとすぐに主人の元へ行く。
「この屋敷もおしまいですね」
「ベール、お前をここで世話してやったではないか、その恩に報いろ」主人は虫の息だ。
胸に突き立つナイフなど、必要があったとは思えない。
「さあどうですかね」
「私をこんな目に合わせた執事長を殺せ」
「だがその見返りがありませんよ」
「私の財産を全部やる」
「物はもらってもしょうがない。ほしいのは人の命のゆらめきです」
「わしの命か」
「あなたの命はもうもらっている。残っているのは魔女だけです」
「では魔女をやろう、魔女を喰らい尽くせ」
「そうですか、それはいい」 笑う。
≪まずい≫ 私は体に戻ると、部屋を出た。
ルキナは部屋にいなかった。 キッチンを見に行く。
ベールがヒナにキャンデーを渡していた。 「‥あげるのもいいと思うよ。いい子だね」頭をなでています。
「その子にかまうな」私はふたりの間に割って入った。
「どうしました」ベールは優しげなほほえみを向けてくる。ヒナの背中を押して。一人で遊びに行かせた。
「お前か何者か知らないと思っているのか」
「おや、そんなこと、もうとっくにわかっていると思っていましたよ」
「それでも続けるのか」
「別に、あなたなど怖くはない」そのほほえみは消えなかった。
「それにあなたは、邪魔さえしなければ無関係だ」
私はきびすを返して、ルキナを探した。応接室で見つけ、主人の死を確認させた。
「終わったわ」ぽつんと言う。
「全てはお前の仕業だったのだな」
「さあ、知ったことじゃない」 ルキナは応接室に戻ると力が抜け、カーペットに座り込んだ。
下を向き、疲れたように笑っている。ただ、その目には涙があった。
ヒナが元気に入ってきた。


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