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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(前編)-7

「セレスティーヌは、マルティナと会ったことがあったんだね」
「ゼルキス王国にも魔力障壁を張ったという話はしたでしょう。私の代わりにマルティナに維持を頼んだのよ」
「なるほど。ところでセレスティーヌ、僕とミミックは今すぐ彼女の身体をここで調べることにした」
「えっ、マキシミリアン、彼女のどこを調べるつもり?」

誤解されないように、マルティナがホムンクルスであるとミミック娘が見抜いた事や、ホムンクルスには魔石に戻ってしまう危険があるので対策のために身体を調べることにしたとマキシミリアンは、妻のセレスティーヌに説明した。

「リーナちゃんはダンジョンで錬成召喚したから、ダンジョンの効果でダンジョン内なら賢者の石へ戻る心配はない。でも、マルティナはそうじゃない。ロエルがゼルキス王国にいるなら、心や記憶が消えないように何かできるかもしれないと思うんだ」
「マキシミリアン、できるの?」
「たぶんね。マルティナの錬成召喚に魔石以外に何が使われたのかわかれば」

セレスティーヌはそれを聞いて、ふと嫌な予感がした。マキシミリアンも、おそらく同じ事を考えているのかもしれない気がした。
魔物娘たちの召喚とはちがう神聖教団の錬成召喚術。
マルティナが子供のうちに魔石へ戻ってしまわないようにするため、神聖教団がどんな方法を行ったのか。

マキシミリアンはセレスティーヌとマルティナを儀式の間に残してミミック娘の部屋に戻った。
セレスティーヌが、儀式の間の床石に刻まれた魔法陣を確認した。
マルティナは、セレスティーヌの指示に従い全裸になると魔法陣の中に仰向けで身を横たえた。
目を閉じたマルティナの身体が床石から浮き上がる。マルティナの瞳の色と同じ紫色の淡い光に全身が包まれている。

「あ……ああっ……んんっ……あぁっ……」

目を閉じたマルティナの唇から、小さな艶かしい声がこぼれた。
セレスティーヌは魔法陣の前に立ち、魔法陣の中でふわりと上下に揺れているマルティナの様子を見守っていた。
マルティナは眠っているのと同じ状態になりながら、全身をさわられているような快感を感じている。

「んっ、あうぅっ、んああぁっ!」

マルティナの背が弓なりに反ると、ぴくんと小さく震えた。
セレスティーヌが片膝をついて両手の手のひらを魔法陣に押し当てた。マルティナの身体が、床の上へゆっくりと花びらのように降りてきた。

「はぁ、はぁ、セレスティーヌ様」

目を潤ませたマルティナは息が乱れたまま、セレスティーヌに抱きついていた。
マルティナの全身が、甘い痺れるような快感に火照っていた。セレスティーヌは黙って優しく、マルティナの背中を撫でていた。
マルティナに融合している紫色の魔石がダンジョンの魔力に反応して、身体に快感を与えたのである。
魔力が全身に注ぎ込まれて、爪先から髪の毛の先まで流れめぐった。
セレスティーヌはエルフ族の法術を使うことができ、またマキシミリアンと魔力を感応力で感じ、与え合いながら交わっているために、魔力の流れる快感や制御のコツがわかっている。マルティナは、自分の魔力があふれて、全身を包み込み浮き上がるほどの経験はなかった。

「マルティナ様は、魔石の魔力で蘇生されたものと思われます」
「やはり、そういうことか」

マルティナの身体を分析したミミック娘が、マキシミリアンに報告した。
治癒の法術の奥義、死者蘇生。
失敗すれば死んでいる肉体が腐敗していくのに、心は生きている時のまま肉体に宿っている状態になる。白骨になって、目玉や喉も溶けてなくなり、何も見えず声を出すこともできない状態にも関わらず、自らの魔力で白骨は歩きまわる。
マルティナは遺体を素材にして、魔石を融合することで、かりそめの命を与えられたホムンクルスなのだった。

細工師ロエルは、人体に魔石の融合することが危険だとマルティナに教えた。しかし、マルティナ自身が知らないうちに神聖教団の神官たちから、人体に魔石を融合する技術の実験台として使われていたのである。

「マルティナ、魔石を融合された君は1度死んでいる。そして、融合した魔石の力で、身体は腐敗したりせずに、心や記憶が維持されているという状態だ。結界の管理を続けていて、結界に魔力を加えようとすれば、君は死んでしまう」

マキシミリアンは、セレスティーヌに連れられてミミック娘の部屋まで来たマルティナに判明した事実を伝えた。

「魔石に戻って、それまでの記憶をすべて失うことは確かにない。しかし、肉体が完全に朽ち果てるまで意識を持ち続けるほうが残酷な気がする」
「マキシミリアン、マルティナの身体はなんとかできないの?」
「マルティナの身体から心を宿した魔石を錬成して取り出して、ダンジョンで魔石から召喚すれば、マルティナの新しい身体が作れると思う。でも、身体から魔石を取り出すのは、僕には無理だ」
「ロエルならできるのね」
「ホムンクルスの身体から魔石を取り出すのは、鉱石から金属の元を取り出すようにいくかどうか、僕にはわからない。取り出された魔石から、マルティナの身体を召喚することはできる」

マルティナは、マキシミリアンとマルティナに言った。

「私が法術を使い、身体に融合している魔石の魔力が尽きたら、肉体が死んでしまうことはわかりました。知ることができて本当に良かったです。今回、私が伯爵様に会いに来たのは、私の身体の事を相談に来たのではありません」

クリフトフ将軍は、オーグレスに蜘蛛娘のアラクネや粘液獣のスライム娘を紹介されていた。そして魔物娘の3人にせがまれ、ダンジョンの外に住む人間の生活について、あれこれと質問されていた。

「マルティナ様!」
「リーナですか。ああ、貴女はずいぶん変わりましたね」

聖騎士ミレイユと一緒にゼルキス王国から辺境の森へ旅立つ前に、リーナとマルティナは出会っている。


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