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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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リーフェンシュタールの結婚(後編)-4

ゼルキス王国では、障気に対して国境に魔力の障壁を作ることで対策を施した。ターレン王国には先住民たちが山を聖地とする地脈を利用した浄化、バーデルの都の開拓者たちが都市を建造して祟りを鎮める護り、パルタの都の水脈を利用して井戸を清めの泉の代わりとした浄化など、各地に施されている対策があった。それを多数の死や呪詛などの行為で穢して失わせようとしている者がいる。
呪物として使われた骨が、リヒター伯爵領の大地の護りをくぐり抜け、蛇神の淫獄の記憶を、淫夢としてリヒター伯爵へ伝える異変を発生させていた。
だが、傭兵ガルドが手下たちと辺境の森に潜伏し、シャンリーが国境地域や王都トルネリカで暗躍している時期に、リヒター伯爵へ呪詛をかけて準備していたのは誰なのか?
ヘレーネやリーフェンシュタールが感応力で、人骨が入れられていた革の小袋という遺留品に手にふれて、呪術師を視ようと試みたが、エマの幼なじみのダミアンの容姿や、リヒター伯爵にレルンブラエの街で深々と羽織ったマントのフードを下ろしたダミアンが、街を見物しているリヒター伯爵に呪物を手渡す時の瞬間しか感じ取ることができなかった。
エマを熱烈に執着していたダミアンは、呪詛を行った術者の身代わりとなって死んでいるにちがいないと、ヘレーネとリーフェンシュタールは判断するしかなかった。呪術師は生きている。
こうした情報をつかんだ直後に、ブラウエル伯爵領のレルンブラエの街から、カルヴィーノがシナエルをリヒター伯爵の邸宅へ連れて来たので、また呪詛の呪物を持ち込んだりしていないか、呪術師本人なのではないかなど、リーフェンシュタールからシナエルは警戒されていた。カルヴィーノが浮気をして連れてきた愛人だからということだけではない。

「そちらのお嬢さんには、こちらで用意した街の宿屋に宿泊してもらおう」
「えっ、なんで私だけ?」

思わずシナエルは、邸宅の応接間でカルヴィーノの服のすそをつかみ、すがるような目で見つめて動揺していた。
ヘレーネがレチェを連れて同じ宿屋に宿泊し、シナエルが怪しい行動をしないか監視することになった。
ヘレーネは不本意ながら、リーフェンシュタールの側から離れることになり、リヒター伯爵がヘレーネと話すのを毎日、日課のように楽しんでいたので残念な顔をしたので、メイドのエマに拗ねられて機嫌がなおるまで、エマの私室の仕用人部屋で、たっぷりと搾り取られることになった。

まさに修羅場という状況に、リーフェンシュタールとカルヴィーノが、自分たちの問題から目をそらすように、人妻フリーデを、ザイフェルトと子爵シュレーゲルが奪い合い決闘をしかねない状況についての相談をしていた。

子爵シュレーゲルは、憧れのヘレーネと惚れた人妻フリーデの二人と再会するという驚きの展開に、15歳の少年の恋心は揺れていた。
ヘレーネを諦められそうだと美しい人妻フリーデとの関係に溺れ、新しい恋の始まりを感じていたところに、憧れのヘレーネがあらわれた。
そして、同じ宿屋に宿泊していて、百戦錬磨のシナエルまで、カルヴィーノがリーフェンシュタールの言いなりになり、宿屋に滞在することを黙認したことに拗ねて、さみしさを紛らわせるためにシュレーゲルをじわじわと誘惑してくる。憧れのヘレーネがさらに焦らしながらも体は許さないという状況で、人妻フリーデとシナエルと憧れのヘレーネの3人にさらに恋心が揺れる。

ザイフェルトは、前世は傾国の美女であるヘレーネやリヒター伯爵から、女性について考えされ、ベルツ伯爵に宮廷議会の重鎮モルガン男爵殺しだけでなく、子爵シュレーゲルの淫らな教育係にフリーデを使われたことに、子爵メルケルを殺した復讐をされている気がした。
フリーデが、ベルツ伯爵からザイフェルトの処刑を減刑するためにしたことは、妻のフリーデが自分の身代わりで復讐の道具に利用されたと思い胸を痛め、その償いを妻のフリーデに一生をかけて行っていきたいと思いながらも悩んた。
自分のした子爵メルケル殺しから始まったベルツ伯爵の怨みと復讐は、子爵メルケルが何をしても生き返らないので、これからも続いていく気がした。
妻のフリーデを辱しめて心を傷つけたメルケルに対する怒りと、騎士の末裔の誇りを踏みにじられた気がした怒りは、メルケルにぶつけた。メルケルを殺しておかなけるば、逆恨みしたメルケルが報復してくるのが嫌だった。ここでメルケルを殺さなければと思ったのは、いずれ伯爵の地位を継いで領主になるメルケルに対して、ザイフェルト自身が心の底て、本当は怯えていただけではないか。

(だから、俺は、メルケルを殺してしまった。そしてベルツ伯爵から怨まれた)

怯えから子爵メルケルを殺し、再び妻のフリーデを辱しめ心を傷つけたのは、ザイフェルトだと思った。

まだ15歳の子爵シュレーゲルは、ザイフェルトにフリーデを連れて、身分を捨て野に下ると言った。そうなったら子爵にして自分の後継者にする息子をベルツ伯爵は二人もザイフェルトによって奪われたようなものである。さらにベルツ伯爵の怨みは激しく燃え上がるだろう。

「メルケルを殺した直後に俺は、自ら命を絶つべきだった。でも、それはできなかった。俺は君と生きたかった。だから死ぬことがこわかった。しかし、俺はベルツ伯爵から怨まれて、そのせいで、また君を辱しめ傷つけることになってしまった。俺は……」
「ああ、ザイフェルト、もう、何も言わなくてもいい。ザイフェルト、私もメルケルから犯されたすぐあとに、どうして死ななかったのか、すごく後悔した。私もザイフェルトと一緒に生きたいと望んでしまった。私たちはそっくりだと思うの。ザイフェルト、二人でベルツ伯爵よりも長生きして、子供も作りましょう。その時、ベルツ伯爵がどれだけ私たちを怨んでいたかを思い知らされるかもしれない。それでも、私と一緒に生きてくれますか?」

フリーデは、ザイフェルトと添いとげて生きる運命を決断した。


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