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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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パルタ事変-5

パルタの都を占拠した部隊の奪略行為をソフィアやマルセロ、モンテサントとイザベラが、ガルドに強く進言して行わせなかった。
その効果は絶大で、騎士ガルドは悪政を行っていた執政官を討伐した英雄として噂が流布されることになった。

王都トルネリカの宮廷議会に対する支持は、この「パルタ事変」によってかなり失われた。地方の伯爵たちの自治領に対する期待は逆に上がっていた。
それても国王ランベールに対して批判や中傷をあからさまに行う論客は、反逆罪とされて処刑されるのを警戒して誰もあらわれなかった。
モルガン男爵の不正とパルタの都の執政官ベルマー男爵との癒着。その証人たちが、パルタの都から転居して、地方の伯爵領で情報を伝えてゆく。

ベルツ伯爵は、重鎮のモルガン男爵さえいなくなれば宮廷議会に伯爵領からの官僚が参入できると考えていたが、予想通りにはいかなかった。たしかにモルガン男爵は殺害された。それでも、ターレン王国の実権は、国王と王都の名門貴族たちによる宮廷議会に握られていた。
国王ランベールが宮廷会議に参列することで、宮廷議会の混乱は収拾されてしまったのてある。

モルガン男爵とベルマー男爵に最後に犯された3人の犠牲者は、モンテサントが確認したところ、子を孕まされてはいなかった。
だが、犯されたことで交わりに対して強い嫌悪感から、震えや吐き気を起こすようになってしまった。
若妻のセルマ。
貞淑な貴婦人カテリーナ。
令嬢グローリア。
セルマの夫セブリアンは、任地であったブラウエル伯爵領からパルタの都へ一時的に休暇を出され戻されてきた。
カテリーナの夫で父親のエルナンドは、ロンダール伯爵領から、任期を途中で打ち切られて戻されてきた。
この小貴族たちへ対応の違いは、伯爵たちの「パルタ事変」に対しての考え方の違いがよくあらわれている。
ブラウエル伯爵は、ゼルキス王国への遠征には賛成の考えの人物であった。モンテサントの激文から、騎士ガルドの遠征軍の失敗は、モルガン男爵とベルマー男爵が、遠征軍の兵糧を輸送しなかったことによる兵糧不足によって遠征軍を維持できなくなったための失敗と考え、同情していた。パルタの都のガルド将軍や元遠征軍について見て、帰ったら報告させるために、セブリアンの任期を一時中止として偵察に戻らせたのである。
ロンダール伯爵は、パルタの都が元遠征軍の志願兵に占拠されたことに、自分は関わりがないことを国王や宮廷議会示しておきたかった。内政重視の考えの人物で、ベルツ伯爵のように、地方伯爵派の官僚による宮廷議会にして王国の実権を握ろうという考えはなく、自領を維持することだけを考えていた。エルナントは残りの任期分の給料分の退職金を、手切れ金のように渡され失業して、パルタの都に戻ってきた。
赴任先の伯爵の考えの違いによって、パルタの都から出向した小貴族の官僚に対しての対応は、まちまちなのだった。
セブリアンは8歳下の若妻セルマとブラウエル伯爵領へ転居していった。
国内で戦が始まる。ブラウエル伯爵の将兵として活躍する機会を得られそうだと妻のセルマに言った。セブリアンは結婚前はパルタの都元衛兵だった。セルマはブラウエル伯爵の血縁の娘で、ブラウエル伯爵領官邸に、納税の作物を輸送してきた文官だった。
エルナントは失業したので、次の赴任先のあてはなく、パルタの都で途方に暮れていた。そして、妻に慰めてもらいたいところに交わりを拒否され、娘にも避けられてしまった。
2歳ほど歳上のカテリーナは、パルタの都の商店で働いていた。カテリーナの父親は文官で決まった領主に仕えていたわけではなく、エルナントの父親も似たような感じだった。仕えた領主から次の別の伯爵領の仕事を紹介され、渡り歩いていく。エルナントはパルタの都の商店で見習いで入り、カテリーナが先輩として仕事を教えてくれた。

「えっ、男性への嫌悪感を無くす方法てすか?」

モンテサントは、リヒター伯爵領官邸に訪ねて来たソフィアに相談してみた。
パルタの都に残された一番の問題は、執政官ベルマー男爵の行った卑劣な行為によって、パルタの都の女性たちが夫や恋人との行為にも、嫌悪感を持つようになってしまったことであった。

相談されたソフィアは、モルガン男爵に体を求められ続けたことで、行為に対して強い嫌悪感があったが、ガルドとの行為で今まで知らなかった快感を知ってしまい、ガルドとの行為に溺れて今に至っている。
ガルドはモルガン男爵や、ソフィアが思うに、おそらく他の男性と比べてかなり絶倫なので、ソフィアが行為に対しての嫌悪感を克服できているのは、ソフィア自身ではなく、ガルドの影響が大きいと気づいている。

モンテサントは避妊の法術や孕んでいるか検知する法術を使える。また、堕胎薬の調合をすることはできても、
しかし、女性たちに残された強い嫌悪感にはどうしたらいいか方法をつかめていなかった。
嫌悪感を通り越して起きてしまう震えや吐き気は、しばらく何もしなければ、気持ちが落ち着いてくるので、おさまることはわかっていた。
カテリーナとグローリアから、モンテサントは相談を受けていた。思い出してしまうと眠れなくなることには、睡眠薬を調合して渡すことで応急処置は行った。夫で父親のエルナントには、何があったか打ち明けられず、できれば一生秘密にしておきたいと、被害者の母娘はモンテサントに話していた。

ソフィアがなぜ反逆者になってまでモルガン男爵を殺害したかったのか。それを打ち明けられたモンテサントは、ガルドのためではなく、ソフィア嬢のために、激文を作りターレン王国に流布する策を実行した。

「私は無力だといつも思う。だから、あれこれ知識を集め工夫をする。執政官の卑劣な地位を利用した脅しで、パルタの都の女性たちの心に深い傷が残ってしまっているのだ。ソフィア、どうしたら良いものだろう?」
「モンテサント先生、イザベラさんにも同じ相談をしましたか?」


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