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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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賢者の石の錬成-5

駆逐しきれなかった魔物は、古代エルフ族や人間族などの種族の心とつながりが深い魔物である。そのために滅ぼすことができないと判断した古代エルフ族は戦いを放棄し、異界まで行き魔物を滅ぼすのを止めた。

オーク族は人間を補食しない。そして、オスのオークは好戦的ではなかった。およそ30日ほどの周期、発情期の満月の夜だけは、エルフ族や人間族にもオスのオークは発情して犯そうとすること以外は問題なかった。メスのオークはオスのオークよりも好戦的であった。
怠惰なるもの、と伝えられている魔物であるが、それは身を守ることや、伴侶や仲間を守る以外には戦わず、魔獣の犠牲になることも多かったからである。

古代エルフ族が戦いを放棄したあとの人間族に残るメスのオーク族の伝承の多くが、他の強い魔物の影響を受け、異形と化して退治された物語が残されている。ゼルキス王家に残されている伝承も、そのひとつである。

他の魔物が神や神獣として崇められた。畏れられて祀られたからだった。だが、オーク族は退治されていった。

「オークも、異界を作ることができたんだな。そう考えると、大陸各地に伝承が残っているのも辻褄が合う」

ユニコーンも古代エルフ族には、憤怒するものという名でも伝承されているが、神聖教団が女神ラーナの信仰を広めた結果、聖域を守護する神獣と伝えられた。

「ロエルが行ったオークの異界が、美しいのどかな領域だったということは、神聖教団の神話で、聖域として伝えられたことも考えられる」

マキシミリアンの話を聞いて、ルーシーと傷痕だらけのオークが仲睦まじくしている様子を、ロエルは思い出していた。

「マキシミリアンは、まだ、どこかにオークがいると思う?」
「異界が僕らの暮らす世界と同じ大きさがあるとすれば、ロエルの会ったルーシーさんみたいな人が、別のオークと暮らしている可能性だってあるから、いるんじゃないかな。オークの領域と、ドワーフ族の洞窟がつながってるということから考えると、ドワーフ族の女性がルーシーさんみたいに暮らしていることもありえるんじゃないかな」

それを聞いて、ロエルはマキシミリアンの優しい気づかいを感じて微笑した。

「マキシミリアン、この賢者の石がダンジョンで、どんなものに生成されると考えているの?」

セレスティーヌが、リーナが人の姿に戻れるのか気になっていたので、マキシミリアンに質問した。

「蛇神の女王ラミアにはならない。リーナの意識を持っている。これだけの魔石は今まで例がないから、予想は難しい」

ロエルとセストは、ルヒャンの都へすぐには戻らず、エルフ族の隠れ里でしばらく滞在することになった。まだ、蛇神の影響が懸念されるとマキシミリアンが言ったからである。セレスティーヌが工房に持ち込んだ古代エルフ族の遺物の武器の鑑定や手入れを、ロエルとセストは行った。

手入れされた装飾具のいくつかをセレスティーヌは身につけて、ロエルに残りの品物の補修や改造を頼み、世界樹の瞬間移動で出かけて行った。

緑色の髪に、緑色の瞳。純白の柔肌と薄紅色の鮮やかな唇。優美な曲線の艶やかな美乳。緑色の淡い恥丘の茂み。しなやかな美脚。マキシミリアンが魔法陣の中央にあらわれたその美しい立ち姿に、思わず息を飲んだ。

巨大なドラコンのような魔獣が召還される可能性を考慮して、大広間ほどの広さの室内の中央で、竜巻に似た突風が賢者の石から上がり、パキッ、パキッと小さな稲妻の光が走り抜けた。その旋風は真空を生み出し、石壁や床石を鋭く削る。
呪文を詠唱しているマキシミリアンが立っていると吹き飛ばされると、咄嗟に判断して、片膝をついて目を細めて竜巻の中に人影があらわれるのを見つめた。
やがて、突風が頬を撫でるそよ風になると、マキシミリアンは目の前の乙女の姿に見惚れてしまった。
エルフ族に似た雰囲気が感じられるが、髪からのぞいている耳は、エルフ族の特徴の耳ではなく、人間族と同じ耳をしていた。
エルフ族や人間族ではない。マキシミリアンが緊張しながら、ゆっくりと美しき風を操る魔物娘に近づいていった。

リーナの意識や記憶を失っていたら、戦うことになると思い、緊張しながら。

その頃、セレスティーヌは、ロエルが安心して戻れるようにルヒャンの都の結界を強化していた。神聖教団の僧侶の法衣をまとい変装している。
エルフ族を知らない者ばかりで、獣人族の都なこともあり、住人たちからは、その美貌と僧侶であることを珍しがられるだけであった。


ターレン王国の国境付近、元後発隊駐屯地。夜這いに来たガルドは、貴族令嬢ソフィアをベッドに押し倒すと言った。

「俺に殺されたいのか?」

そのまま、ガルドが唇を奪おうとするとソフィアは顔を横に向けて避けた。ガルドの体の下に押さえ込まれたソフィアの体が、小さく震えていた。

「男としたことぐらいあるんだろう。ソフィア、もう、あきらめろ」

「貴方が騎士ガルドと見込んで、お願いがあります。それを聞いて叶えてくれるのなら、私のことを、貴方の好きなようにになさってもかまいません。そうでなければ、嫌です」

「俺と取引をするつもりか?」

ソフィアがガルドの顔を見つめて、青ざめた顔でうなずいた。

「いいだろう。聞いてやるから話せ」
「殺したい男がいます。もし、私がその男を殺せなかった時は、貴方が必ず殺して下さい」
「色気のない話だな、ソフィア」

ガルドはそう言いながらも、ソフィアを押し倒したままてある。

「遠征軍の中には、私よりも腕の立つ者もいるだろうと期待していました。しかし、貴方以外の者たちがあれほどひどいとは、思ってもいませんでした」

「そうだな、鍛える必要がある」

ガルドはソフィアが命を狙う相手と、その理由を聞き出して言った。

「ソフィア、ならば俺と一緒について来い。俺はこの国の王となるからな!」


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