投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最初へ Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 52 Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 54 Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最後へ

賢者の石の錬成-2

魔法は空間に魔力を展開して現象を発現させる。細工師の技は、物を変化させ、融合によって性能を加える。つまり、魔法は何もないところに現象を生み出せるが、細工師の技は物なければ使えない。魔法には土の中に亡霊を吸わせたり、水を薬にすることができるものがあると、僧侶リーナから聞いたけれど、細工師には土や水を加工しても、魔法のような働きさせることはできない。

僧侶にしろ、細工師にしろ、どちらも精神と生命の力を変換して術や技を発現させる力の流れを体に感じる。この変換の力の流れは自然にも宿っている。人の体で行われる変換の流れよりも、とてつもなく複雑かつ膨大で大きく強い。自然の力の流れを感じ取り、自分の変換した力と同調させられるのは、わずかなもの。
だから、基本的には僧侶や細工師は自分自身の力の流れで術や技を使う。
細工師の場合は物、土や木、石といった物が、世界に存在している力の流れと自分自身の存在している力の流れの同じところで結びつき、物のあり方を変えることかできる。
存在感があやふやで見えない、手にふれられない、結びつきがつかめないもの、たとえばリーナの意識を細工師の技で、捏ねたり、つまみ分けたり、形や硬さを変えることはできない。

人体に細工師の技は使える。形や硬さを変化させるのではなくて、その存在を維持している力の流れと自分の存在を維持している力の流れを同調させて感じ取ることで、ふれている相手の感覚が流れ込んでくる。それは手に限定せずに、肌やべつの部分でも可能なので、技を使っていて、男性が膣内に射精する強い快感が流れ込んでくると、それはもうたまらない快感がある。細工師でなければ、わからない秘密の快楽である。弟子のセストに手でしごいたり、口に咥えて戯れながら、セストが快感を感じるほど、一緒に快感を感じることができる。
娼婦たちなら、そんな技はいらないと絶対に言うだろう。相手が快感を感じるたびに自分もいちいち感じていたら、すぐにくたくたに疲れてしまう。

魔石は、力の変換の流れでも特殊な流れで存在を維持している物である。特殊だが癖が強いだけあって、同調部分を感じて探り出すのは、人体よりもかなり難しい。同調部分を感じやすい人体をふくむ自然の物質が、他の部分で複雑で干渉に制限がかかるのとは魔石は逆といえる。存在を維持する力の流れは物質によって異なる。魔石の存在を維持している力の流れは癖が強すぎて、他の物質の存在する力の流れを大きく変えてしまう。乾いた土に水が染み込み、濡れた泥になっても、泥が土であるように、魔石が融合した何か別の特性を加えた物になる。魔石は扱いにくいが、別の特性を加えた物を加工することができる。

魔石を使った加工は、特性の衝突や流れの混乱から、技で加工することが成功したからこそ、事故が起きる。たとえば、火と水を同時に発する特性から、蒸気がぽふっと間の抜けた音が上がって、目の前の物が消え失せたりする。
そうしたことが起きないように、壺の中に水を入れておき、細工師は魔石を壺に融合する時に、火の特性を水が入っている時だけ起きるように強く念じる。すると、壺に水が入った時だけお湯になる。水がお湯になる時に、お肉や野菜を一緒に入れておけば、とても食べやすく柔らかに煮ることだってできる。
ロエルは、水をお湯にする大きめな壺を作ってみたことかある。浴槽にお湯をためるのに、薪割りもいらない、火を使いお湯を沸かす手間もなくて便利だと、セストがうれしそうに使っていた。

魔石を使った加工をしない細工師のほうが多い。それは魔石に秘められた癖が強すぎて、細工師が念じても制御しきれないと、物ではなく細工師の体に特性を加えてしまう事故も起こるからだった。
火の特性が体について、すっかり燃え尽きてしまい、人の影のような形の焦げあとが工房の木の床に残っている、という悲惨な事故が起きる。
細工師の念で制御できるかどうか。そこが事故の発生に深く関係してくる。

親切なオークから譲ってもらった小粒な漆黒の魔石。この魔石を融合に加えることで、細工師の念によって制御する効果がとても強くなる。この魔石だけでは、何に融合しても、色が真っ黒になる効果しかない。他の魔石と融合することで、その秘められた実力を発揮する、夜の女王とも呼ばれる魔石である。

「蛇神、オソロシイ魔物」
「リーナちゃん、杖から人の姿に戻れるといいわね」

オークとルーシーが、ロエルとリーナの話を聞いて同情して涙ぐんでいた。蛇神の呪いという話を、オークとルーシーが信じてくれたことや、信じたとして敬遠されなかったことにも、ロエルはかなり感動していた。

「私はユニコーンに、ここで会った。ツノにさわって、元のところに帰った」

ロエルはオークとルーシーに、賢者マキシミリアンから聞いている異界の話を聞かせた。
異界には主がいる。異界は、ロエルたちが暮らしている世界とつながっている。心とつながりがある異界の主は、自分の支配する領域で滅びることない。ロエルたちが暮らしている世界とのつながりが強まると、異界の門が開く。

「この異界の主は、私が子供の頃に会ったユニコーンだと思う。今、この異界の門が閉じているのに、私とリーナはここに来ることができた。それに、ルーシーさんは、異界の門を通ってここに来た。それにオークさんたちも、仲間たちからはぐれてここに来た。私たちは、この異界の主に、ここにいることを許されているのかもしれない」

(それって、もしかして、帰してもらえないってことですか?)

「たぶん、戻る方法は、昔の私みたいにユニコーンのツノにさわらせてもらうこと。もうひとつはオークさんが使っていた異界の門が使えるようになること」

「俺、洞窟マデナラ行ケル。ダンジョンガアル外へ行ケナイ。ロエル、リーナハ行ケルカモシレナイ」

オークが湖のほとりの地面に手をふれる
と、一瞬でオークと錫杖を抱えたロエルは、洞窟の中にいた。


Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最初へ Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 52 Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 54 Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前