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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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魔獣変化-2


「セレスティーヌ、たしかに、ロエルは変わったと僕も思った。よし、賭けをしよう。ロエルが恋人を説得できるか、できないか」

「私、ロエルは説得できると思う」

「もしも、セレスティーヌが死んでしまうような危険なことをしようとしていたら、僕なら絶対に止める。僕はね、世界がどうなろうと、セレスティーヌがいない世界なんて、もう滅びてもかまわないと思っているから」

それを錫杖の中で聞いていたリーナは、賢者マキシミリアンが王位を継がなかった理由がわかった気がした。
王は、自国の民を守ることを最優先に考える者だとリーナは思っている。伴侶の女性を最優先に考えていたら、贅沢三昧をするお妃様に利用されたりする。そうして滅んだ平原の王国の物語はいくつもある。

「ロエルが聖域に行くとしたら、神聖教団の仕掛けは使えない。ねぇ、マキシミリアン、ダンジョンの仕掛けで聖域に行けそう?」
「ダンジョンには、聖獣と呼ばれているものは生成されていない。魔獣もどきばっかりだ。残念ながら聖域には、たぶんつながってない」
「ロエルが子供の頃、どうやって聖域に行ったのかしら?」

マキシミリアンとセレスティーヌが話し合っていると、ロエルとセストが工房へ戻ってきた。

「セレスティーヌさん、お願いします。俺を師匠と一緒に、エルフ族の王国に連れて行って下さい」

「マキシミリアン、賭けは私の勝ち。セストくん、いいわよ。ただし、エルフ族の女性が素敵でも、浮気したら覚悟してもらうけどね」

ロエルがセストの隣で、じーっと見上げている。セストは身を屈めてロエルに、小声で囁いた。

「大丈夫ですよ、お師匠様、浮気の心配はありません。だって、俺はもう世界で一番柔らかいものを教えてもらいましたから」

ロエルが耳まで真っ赤になり、セストの脇腹のあたりを、服の上からつねった。

「はははっ、セスト、おたがい気の強い妻を持つと大変だな」

マキシミリアンが、セストに笑って話しかけた。

「セスト、ロエルがリーナちゃんと無事に帰って来られるように、エルフ族の国へ行ったら、作ってもらいたいものがあるんだ。僕やセレスティーヌでは、作れない」

セストは、細工師ロエルの作ったハサミや裁縫道具を持って、エルフ族の王国まで、旅に同行することになった。

賢者マキシミリアンは、エルフ族の王国で、妻のセレスティーヌに事情の説明やロエルやセストの滞在許可などの交渉を任せて、ダンジョンに戻ると、貴重な糸と素材を採取した。

スライム娘の体液。
アラクネ娘の糸。

スライム娘は、全身半透明な粘液体の美少女である。
スライム娘がマキシミリアンの頼んまれたように、小さな小瓶に、つぅっと唇からよだれを垂らして入れた。

アラクネ娘は上半身は褐色の肌の美少女で、下半身はコガネグモである。
マキシミリアンはアラクネ娘も乳首を舐め転がす。気持ち良さそうに、あえぎまくっているアラクネ娘が出した糸を、スライム娘が華奢な両腕で、くるくると器用に巻き取っていた。

マキシミリアンが、セレスティーヌにはちょっと言えない方法で、これらの魔獣を懐柔しすることで、素材を分けてもらい、エルフ族の王国へ戻ってきた。
エルフたちの前で細工師ロエルは、極上の透明でしなやかな糸を見事に合成して作ってみせた。

ロエルの背丈や体型に合わせ、エルフ族の儀式用のドレスに、合成した極上の糸を縫い込んで、セストは魔法の羽衣として仕立て直した。

蛇神の錫杖を抱えて、魔法の羽衣をまとったロエルの姿は、聖職者の美少女のような雰囲気を醸し出していた。
ロエルが、少しだけ透けている感じの魔法の羽衣に恥ずかしがっている表情は、セストの胸をどきっと高鳴らせた。

愛と豊穣の女神ラーナでさえも、賢者マキシミリアンは、異界のものと考察していた。
他の魔物とちがいは、どんな感情を影響として与えてきて、こちら側の世界へ干渉してくる存在なのかのちがいにすぎないと考えている。
肉欲か、愛情か、嫉妬や怒りか。

「ロエル、護衛に、うちのミレイユちゃんがついて行けたらよかったんだけど、本当にすまない。嫉妬深き闇夜の女神ノクティスがついているものだから、ミレイユちゃんは聖域に入れてもらえない。だから、加工の途中でも危ないと思ったら無理するな。セストのことを強く念じて、羽衣の力で戻って来いよ」

「わかった、行ってくる」

瀕死の状態でも、帰ってくれば、セレスティーヌが治癒の魔法で回復する準備は整えてあることも、賢者マキシミリアンは親友の細工師ロエルに伝えた。
ロエルは、素っ気ない口調で返事をしているが、やはり、緊張しているようだった。セストがロエルの手を握ると、ロエルが微笑したのを、マキシミリアンとセレスティーヌは見た。

「ふむ、友情よりも、愛情なのか」
セレスティーヌが、つぶやくマキシミリアンの隣でくすくすと笑っていた。

師匠ロエルと錫杖に宿ったリーナが、エルフ族の巫女たちが歌うような美しい声で、呪文を一斉に詠唱する響きに包まれると、世界樹の前から、瞬間移動で聖域へ送り出されて行った。

賢者の石と呼ばれている魔石について、古代エルフ族の伝承が残されている。
神聖教団では、賢者の石というものは存在しないと思われている。
神聖教団は、魔獣たちの主たちが異界へ姿を消し、さらに時が過ぎ、魔獣が跳梁跋扈していた時代が、おとぎ話になった平原に小国か乱立した時代にできた。
王族の墳墓に埋蔵された財宝の中には、亡霊もいたが、魔獣を退治して得られる魔石も多く入れられていた。
そして、魔石は魔法を発動する触媒であることを、神聖教団の教祖は発見した。
神聖教団の教祖は、7人の大神官によって、不老不死なる世界の王として君臨する計画を命がけで阻止されて、最終的には消滅した。
教祖が求めた伝説の魔石こそが、賢者の石と呼ばれるものである。


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