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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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師匠ロエル-4


「雨の日とかに肌寒かったら、シャツを着てから、それを着たらいいですよ」

汚れがついてしまったワンピースのスカート部分を切り離し、背中側やスカートのお尻側の布地を使い、汚れている正面側は切り離し、セストは黒いシャツも、おまけで作った。

オーバーオールだけだと、背中や下乳が見えてしまうので、セストは目のやり場に困ると思ったからである。

「セスト、どうかな?」
「お師匠様、かわいいですっ!」

ふたりで買い物に出かける時は、ロエルはシャツを着ている。でも、ふたりっきりでいる時は、シャツは着ないでオーバーオールだけでロエルは工房にいた。
背中や下乳、ショートパンツのお尻のあたりや、生脚を見たセストが、どきっとしているのがわかる時があって、ロエルはそんなときに、キスをせがんでみる。
前は逃げられることもあったが、セストがキスを嫌がらなくなった。
とてもすばらしい作業着だと、ロエルはとても気に入った。

市場で若い獣人娘から、ロエルは声をかけられたので驚いた。

「その服、すごく素敵ですね。誰から買ったんですか?」
「これは作ってもらったんですよ」
「わぁ、いいな。私も作って欲しい!」

セストが申し訳なさそうに何度も頭を下げて、これは恋人のために作ったものだからと獣人娘に説明していた。
セストが職人として喜んで獣人娘に服を仕立ててあげるとロエルは思っていた。

「私も、私だけの服を作ってくれる恋人が欲しい。うらやましいです」

ウサギ耳の獣人娘はニコニコとそう言って、ふたりに手をふって離れていった。

「俺が服を仕立てるのは、お師匠様だけですから」

帰り道でセストに言われて、ロエルは胸がどきっとした。
お店に帰ってきてから、セストの背中に抱きついて、思わずロエルから甘えてしまった。

細工師と細工師見習いの恋人たちのお店に、リーナはあずけられた。

ロエルとセストはふたりで錫杖に手をふれて、リーナと話をすることができた。
細工師ロエルは、リーナの法衣姿まで、思い浮かべることもできた。
霊感能力があるようだったが、亡霊を視るのは初めてだということだった。

「う〜ん、俺がリーナさんを視えれば良かったんだけどな」

リーナの声を聴くことはできても、姿が視えないセストのために、ロエルが絵を描いてくれたのだが、幼児の絵みたいに目は点、鼻は棒、顔は卵形、口は逆三角型という残念なことになっていた。

そこで、ロエルとセストは、片手で錫杖にふれて、空いている作業机の下で手をつなぐと、ふたりで目を閉じてみた。

ロエルはリーナの姿を伝えたいと強く念じて、セストはロエルの気持ちを感じたいと強く念じた。

「セスト、絵が上手」
「お師匠様だって、指輪とか首飾りとか物を描いたら上手じゃないですか。人を描くのだけ残念なのが不思議ですよ」

ロエルは軽く聞き流して、リーナの錫杖に話しかけた。

「リーナ、視える?」
(はわわっ、私、そんなにきれいじゃないですよっ?!)
「おかしいな、俺が感じたのはこんな感じだったんだけど」

このリーナの人物画を見たマキシミリアン夫妻は、大絶賛であった。

「僕が霊視したリーナちゃんの姿も、こんな感じだよ!」
「セストくん、画家になれるわ」
「セストは私の弟子、画家にさせない」

(ああ、この三人は本当に気が合う親友どうしなんだな)

セストは、マキシミリアン夫妻と師匠ロエルの話している様子を見て、ちょっとうらやましいと思った。

セストには、親友がいない。でも、とても身近に、深い気持ちのつながりのある恋人で師匠のロエルがいる。

もっとさみしさを感じたのは、錫杖に呪縛されているリーナだった。

「リーナちゃん、私たちは貴女のことが大好きだからね」

錫杖を抱きしめて、セレスティーヌがリーナに話しかけた。

「錫杖にリーナちゃんが呪縛されているのは、どこに逃げても、蛇神がリーナちゃんを見つけられるようにしてるというよりは、僕らの世界では、心と体というのばひとつにつながってるからなんだろうと僕は考える」

賢者マキシミリアンは、ロエルの工房でどうして錫杖を加工する依頼をしたのか全員に説明をした。

異界のものは神や魔物と呼ばれている。そして、こちらの世界ではなく異界を持っていて、むこう側で存在している。

こちら側から、異界の神や魔物は滅ぼせない。しかし、むこう側から干渉を受けることがある。

「神や魔物とつながりが強かったり、極端にかけ離れていると狙われやすい」
「マキシミリアン、それはなんでリーナちゃんが狙われているのかってこと?」
賢者マキシミリアンは、錫杖を見つめてうなずいた。

リーナの錫杖を、蛇神がしもべをこちら側に行かせてまで奪おうとしてくるのかを、マキシミリアンは考えていた。

「それで5日間をすぎたら、ルヒャンの都や工房を、ふたりが警備するって言ったの?」

ロエルは、錫杖を盗賊が奪いに来るものと考えていた。どうやら目に見えない敵が奪いに来るらしいと、ここでやっと理解した。

「リーナちゃんが狙われたのは、いくつかの状況が重なった結果だと思う」

ニアキス丘陵の周辺は、かつて蛇神信仰が盛んだった地域だったこと。
傭兵ガルドが、蛇神を刺激するような蛮行を行ったこと。
ダンジョンをふくめて、異界の門が開きやすい地域だったこと。
リーナが蛇神の錫杖だと知らずに、錫杖を所持していたこと。
蛇神はこちら側の肉欲に深く関わっているものだったこと。

そして、リーナが愛と豊穣の女神ラーナの信仰をちゃんと教えられず、禁欲的に生活して、自己犠牲が当たり前だと思っている若い女性だったこと。

「その結果、蛇神の異界に生きたまま連れて行かれた。けど、かろうじて、心だけになりながらも、こちら側に逃げてきた」


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